“秘密のかけら”
エロティック・サスペンスとして分類される本作。
ケヴィン・ベーコンとコリン・ファレルのダブル主演にアリソン・ローマンがヒロインを演じる。
ケヴィンとコリンが演じるコンビの大物コメディアン。
1950年代人気絶頂にありながら、ある事件をきっかけに突然コンビを解消する二人。
それから15年後。
新進気鋭のジャーナリストであるアリソンにとって、少女の頃ヒーローだった二人のあの日が忘れられないでいた。
自分の才能を世間に売り込む為に、コンビ解消の謎とあの日の真実について二人に迫るアリソンだったが…
物語は昔(50年代)と15年後を行き来しつつ、艶かしく官能的なシーンを織り交ぜ、あの日の核心に迫って行く。
決してエロティックさだけが売りの映画ではない。
アメリカ芸能界の生々しい裏側。
ドラッグ、酒、奔放な性、暴力、アングラな世界、マイノリティーへの偏見、金、野心…
スキャンダラスでドロドロとした展開に、終始すっきりとしない空気が漂うが、時間、空間、心理を重層的に描き、後半の伏線回収、ラストのどんでん返しも見事だ。
官能的なシーンもまた、しっかりと意味を持つ。
バックに流れる音楽が、心理や時代にマッチして素晴らしく、衣装や調度品の華麗さもまた時代や業界をよく表していた。
ケヴィンとコリンの演技は流石。
ケヴィンの病的な変態性。
コリンの紳士面した裏にある狂気と孤独。
とりわけ幼顔のアリソンの野心とエロティックで体当たりの演技が際立っていた。(“アリス”との絡みは幻想的な妖艶さにクラっとした…)
誰にも言えないそれぞれの
“秘密のかけら”
“秘密”故に複雑に絡まりもつれた糸。
展開が早く、練られたストーリーを十分に味わう為には、1度の鑑賞よりも、2度観る事をお勧めしたい。
あまり評価は高くないようだが、なかなか良作だと私は感じた。