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Disney's クリスマス・キャロルの消費者のネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

・あらすじ
共同経営者、ジェイコブ・マーレイと共に会計事務所を営む老齢の男性、エベニザー・スクルージ
彼はケチで偏屈で意地悪で冷淡という最悪の人格の持ち主でクリスマスムードも忌み嫌い、周囲の人々のほぼ全てに嫌われていた
その捻くれっぷりは筋金入りでジェイコブが死んだ際は布施も払わず冥銭も盗むほど
そして7年後のクリスマスイヴ
スクルージは相変わらず人を寄せ付けない性格で甥、フレッドの家族でのディナーの誘いも拒み、寄付のお願いをしに来た貧しい子供達を世話する救貧院の男性達にも憎まれ口を叩き追い出してしまう
そしてその晩、スクルージが帰宅すると彼の家にジェイコブの亡霊が現れる
スクルージと同様に冷淡な守銭奴だった彼は生前の数多の罪によって体にはいくつもの鎖が繋がれており永遠の旅を強いられているのだという
彼は相棒で似通った人格の持ち主のスクルージもこのままだと同じ運命を辿ると警告し、それを逃れるにはこれから3日間に分けて現れる精霊達と共に贖罪すればそれはチャンスや希望を取り戻せると告げ姿を消す
直後現れた1人目である過去のクリスマスの精霊
スクルージの人生を変える時空を超えた旅が今始まる…
というクリスマス映画

・鑑賞理由
クリスマスウィークを祝うクリスマスホラー鑑賞週間の5本目
小説家、チャールズ・ディケンズの手掛けた寓話的な世界観の古典作品をCGアニメーションで描いたディズニー作品
それでありながらYouTubeでクリスマスホラーの紹介動画で名が挙げられており興味が湧いたので鑑賞

・感想
率直に言うとホラーと呼べるほど怖い作品ではなかった
だけどディズニーのファミリー作品、という前提を考えると不気味な描写やスクルージの暗い過去や彼の歪んだ背景の描かれ方は確かになかなかダークでCGアニメーションという事もあって妙にリアルな人間っぽさのあるビジュアルのキャラクター達がその物語を繰り広げていく姿は子供だったら結構怖いのかもしれない

話の軸となる精霊は
過去のクリスマスの精霊
現在のクリスマスの精霊
まだ見ぬ未来のクリスマスの精霊
の3人となっていて彼らのそれぞれ全く異なるビジュアルが印象的だった
”過去“は炎の体
”現在“はサンタの様な容姿の男
”未来“は死神の如く闇に包まれた馬車を操る大男
特に最後に出て来る“未来”は黒沢清監督の作品「回路」における亡霊の姿を思い出させる
そんな姿でスクルージを追い回した末にこのまま彼が変わらなかった場合の未来である彼の悲惨な死後を見せていくんだからホラーと捉える人もいるよね…w

他にも”現在“が服の裾に隠していた「ロード・オブ・ザ・リング」のゴラムみたいな容姿の2人の子供、”無知“と”貧困“
その2人はスクルージが救貧院の人達に吐き捨てた言葉をそのままぶつけて来るんだけどその後に”現在“もまた自らの死をスクルージに見せつけていて「これ、本当にファミリームービーなん…?」となるに決まってるんだよね…w
その上、貧困街に住む部下のクラチットの息子、ティムの脚が不自由で死が迫っているという事実と重ねる様に出て来るという…

残る1人で最初に出てきた”過去“も彼自身は怖くないけどスクルージの悲劇的な過去を残酷に見せるので上記2人に繋がるフリとして良かった
息子であるスクルージの甥、フレッドを残してこの世を去った彼の妹、ファンの存在…
そして貧しくとも幸せだった頃の面影をすっかり失い金に固執していくスクルージに愛想を尽かして去っていった彼の元妻…
これらの背景にしてもいやいや子供も観る作品にしてはヘビー過ぎない…?と逆に笑えてくる

あと”未来“パートで登場する老女、ディルバー婦人がスクルージの死後に遺品をくすねて彼の死を嘲笑っていた場面も何だか小説「羅生門」の老婆みたいな気持ち悪さでなかなかだったな…w

こういったファミリー向けとはおおよそ思えない様な暗い世界観なんだけど驚いたのは原作とそこまで話が変わっていないっぽい事
そもそも本作に限らず同じ原作の映画作品が他にもいくつかあるほど定番の物語となってるのが普通に凄いな、と
そういう視点で観ると結構面白い作品だった
ホラーと捉えるほどかは微妙だけど子供向けアニメのトラウマ回的なホラー性は確かに感じ取れた

最も良かったのはやっぱりスクルージ役、ジム・キャリーの圧倒的な演技力かな
歪んでいて偏屈な振る舞いから精霊達によって新たな人生を歩み出し明るい善人と化す所まで、なかなかのギャップがあるのに見事に自然な芝居になっていて感服
こういうのも出来るんだねあの人…

・総括
前述の通りホラーと呼べるほど怖い訳ではないんだけど物語や描写の容赦なさは確かに何度も言ってきた様にファミリームービー離れしているし面白かった
ディズニー作品でこれだけ出来るとなるとよりエグい内容に改変して実際にホラー映画を作る事も可能なのでは?という気がして来るしそんな物語が大衆向けの寓話として扱われてるのがやっぱり良い
グリム童話や日本昔話が元はかなりエグい話だったというのにも似てるし本当に誰かホラーとして作って欲しいかもしれないw
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