“「エクソシスト」だけじゃない!ウィリアム・フリードキン監督の世界①”
高橋ヨシキ氏の2012年シネマランキング第1位の作品。
ポール・ヴァーホーヴェン監督が“変態”ならば、フリードキン監督は“鬼畜”である。
とにかく役者へのドS演出で有名であり、詳しいエピソードはググればいくらでも出てくるのでご参照くださいませ。
というわけで本作も“え、この役者にこんなことさせる?”の連続である。冒頭、初っぱなからいきなりジーナ・ガーションさんの真っ黒くろすけなおマ○コが映し出されます(笑)ここで巨匠監督の一発目の“かまし”を喰らわせられ、ただならぬ映画が始まる予感がする。
ただこの映画、派手なストーリー展開やアクションが繰り広げられる映画ではない。オフビートっていう言い方はあまりしたくないが、基本的にはユルい展開。バイオレンス描写も実は量的には多くない。ただ1つ1つのバイオレンス描写がじめ~っとしていて良い意味で“重い”。この“重さ”はいくら若手監督がイキって作っても出せない“重み”であり、巨匠にしか出せない技だと感じる。観ればわかるはず。
とにかくなんてことないちょっとしたシーンに凄みを感じるフリードキン節が全快。
世界一、カウボーイハットが似合う男ことマシュー・マコノヒー先輩の色気とカリスマ性は只者ではないが、そのマコノヒーにフライドチキンを使って“アレ”させるシーンなんかはちょっとゾッとしましたね(笑)本当に鬼畜監督だなぁと。ラストとかぶっ飛び過ぎですよ(笑)
暴力的でどす黒いギャグ、そして俳優たちの力強い演技。本作を観ればフリードキン監督の失われていないキレキレぶりを再確認出来るはず。
近年、マーティン・スコセッシやポール・ヴァーホーヴェンなどこういった巨匠監督たちが歳を取れば取るほどキレのある若々しい作品を発表していて嬉しい限りである。