まぬままおま

ヘルレイザー3のまぬままおまのレビュー・感想・評価

ヘルレイザー3(1992年製作の映画)
4.0
2が傑作であるのは聞いていたから全く期待していなかったけど、3もいいじゃないですか…
物語内容については後述するが、街をぶっ壊したり、クローネンバーグの『ヴィデオドローム』をやりたかったんだろうなとか感じて笑ってしまった。だって現実と虚構の混交や膨張する演出とか、そのまんm…ドスッ(ここで頭にCDがめり込む)

以下、地球上の地獄をみてからで。

2は内面、精神世界における地獄の存在を語っていると思うが、本作は現実世界に地獄を展開している。そしてセノバイトが善悪で対立関係になるように、現実と虚構が対立していく。その対立は新人TVレポーター・ジョーイの現実とテレビ番組の世界=虚構のように。しかし2から続く彫刻とそれにより召喚されるセノバイトの登場によって、現実と虚構は境界が揺らぎ、大量虐殺の地獄を生み出してしまう。その地獄はテレビ番組、しかもジョーイのテレビにしか映らない虚構のものだ。しかし現場には死体が転がっている。この攪乱の様も地獄だ。

けれどその感覚は何となく分かる。テレビ番組では戦争の悲惨な様子はリアルタイムで映し出されているのに、現実世界ではそれがあたかもないかのように、人々は楽しく笑って暮らしている。どこまでが現実で虚構なの?その境界が分からなくなってしまう。そして映画はたかがイメージであるから、全てを虚構と化してしまう。

さらにこの感覚は、ベトナム戦争中の、そしてその記憶が生々しいアメリカ/人の感覚と一致していたのだろう。実際、本作のジョーイの父は兵士として戦地という地獄の只中にいるし、ピンヘッドも兵士であった描写がある。

戦争の記憶がフィルムに定着している。その地獄を描いているのだから、単なる虐殺描写ではないのです。

ジョーイと真相解明に努めるテリーも、カメラマンもセノバイトになってしまう。さらに彼女の立ち向かい方が「逃げる」ことであることも、地獄から抜け出すことの解決がないようにも思えてしまう。キリストにすがることもできない。

何ともやりきれなさを感じてしまう。ホームレスについても全く解明されたわけではないから、その真相を明らかにするため4へ向かった。