このレビューはネタバレを含みます
お互いがお互いしかいないという感じ。
でもそれは世界が狭いふたりだからこそだと思った。もし誰かがお互いより先に自分を好いてくれたら?受け止めてそばに居てくれたら?ただの順番だという風にもとれてしまった。でもこれが運命なのかもしれない。親のエゴというか、母親と父親の女性的な短所、男性的な短所も見どころのひとつになっている。こうして欲しいとかこうあって欲しいという願望を無意識に押し付けるのは親という立場特有のもので、それを飲み込むのも子ども特有のもので、改めて親と子の関係性の難しさを知った。
奈穂子が目が見えないという設定は物語の展開に大きく影響してくるが、わたしはその要素を抜きにしてこの作品をみたとしても同じ評価をすると思う。
恋は人を変える。そしてだめにする。
だめ、というのは人間として堕落するという意味ではなくて、(そういう恋愛もあるとは思うけれど)今まで手についていたことが誰かを思う事で上手く出来なくなるということだと思う。でも生活に支障をきたすほどの感情の揺れ動きは人生の糧に必ずなっていく。それがすぐに実らなくても、この恋じゃなくても。