理央

ジャーニー ドント・ストップ・ビリーヴィンの理央のレビュー・感想・評価

5.0
Journeyというバンドが、アーネル・ピネダという路上で歌ってその日暮らしをしていたフィリピン人シンガーをYouTubeで見つけ、バンドにスカウトするという、シンデレラストーリー……とまとめてしまうには勿体ない、力強いドキュメンタリー映画。

母親を亡くし、その後一家は離散。歌を歌いながらその日暮らしをしていたアーネルと、ヒット曲を数々生み出しながらも2度のヴォーカリスト脱退を経験してきたバンド。
どちらも信じることをやめなかったから、こうして出会って、バンドとして再び成功することができたのだと思うと、きっと今のアーネルは、「本来いるべき場所」にようやくたどり着いたのだろうなと思う。

それにしても、アーネルも他のメンバーも、何て強くて美しいのだろう。どちらもプロフェッショナルで、けれど謙虚。そして何よりメンバー間の信頼の厚さ。あのスティーヴ・ペリーの後釜でしかもアジア人であるアーネルがこうしてJourneyというアメリカン・ロック・バンドに迎え入れられたのは、アーネル本人の実力と強さ、そしてそれを真摯に受け止めるJourneyのメンバーたちの誠実さに帰するのだろう。

アーネル自身も、彼を見守る家族やメンバーも、本当に皆美しい。Journeyというバンドの、音楽性以外の魅力を理解できる1作。
理央

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