菩薩

スカイラブの菩薩のレビュー・感想・評価

スカイラブ(2011年製作の映画)
4.2
どうしてもタイトルの後に「ハリケーン」を付けたくなってしまうのは俺だけでは無いと思うが、残念ながら政夫も和夫も出てこない。「スカイラブ」は明日地球の何処かに落下予定の人工衛星の名であり、もしかしたら人生最後の日になるかもしれない一日に落下予測地点のブルターニュの田舎に集う一族を子供目線で切り取る群像劇。嵐の様な会話劇である事は確かであり、一見すると特に前半なんかは「家族サイコー!」ムービーであるが、後半は家族と言えども政治的立場の対立もありなにやら不穏なムードに…。結局のところ何を言いたいのかはよく分からないが、戦場が無くなり行き場を失った男性性に対する冷徹な目線は強烈、ただそれ以上にジュリー・デルピーの絶妙な下ネタセンスが強烈過ぎて俺のジューリーも出…ない、って俺これ毎回言ってる気がする。なんせ大家族で顔も名前も覚えられないマンからしたら誰が誰の子であるやら血の繋がりがどーだを完全に見失うが、おそらくそんなのはどうでも良くて、大人はアホみたいにやんや言っとるが、子供は毎日楽しんで生きて、その内クソみたいな大人になってねって事だと思う、知らんけど。両婆ちゃんがベルナデット・ラフォンとエマニュエル・リヴァってのも凄いが、役名がいちいち「ジャン=リュック」やら「ロジェ」やら「フィリップ」やらで完全にやっとる。フランス人も怖い話する時は顔の下から懐中電灯当てるのか。エンディングがDead Kennedys 「Too Drunk to Fuck」、二人のギャルに挟まれてベロチューする陽キャを羨む陰キャの構図はトリュフォーかな、最高。戦争が切り裂く家族の絆、子供の喧嘩と大人の喧嘩の対比、今日ある命が明日あるとは限らない。
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