豚肉丸

凶悪の豚肉丸のレビュー・感想・評価

凶悪(2013年製作の映画)
4.7
ある死刑囚が「『先生』という人物が殺人事件に関与している」と週刊誌の記者に告発したので、調査するお話

ポスター地味だしあらすじも面白そうだけど地味なサスペンス映画だよな~と思いながら見たらとんでもない暴力映画でビビった。想像以上に暴力とゴアが沢山だったけどそこに楽しさは一切無くて、とにかく陰鬱で胸糞悪い暴力が繰り広げられて気持ち悪い(実話ベースという点がさらに気持ち悪さを倍増している)

でも暴力だけではなくて人間ドラマやサスペンス要素もかなり濃い。「はたして死刑囚の言っていることは本当なのか?」と不安だらけの序盤から中盤の暴力映画に流れる展開は凄いし、その後の展開もハラハラドキドキが続いて一切飽きない。2時間の中でジャンルがどんどん変わって、最終的にはちゃんと一つの結末に綺麗に着地するのは凄いよほんと...

映画から「誰が本当の凶悪なのか?」という問いが観客に投げかけられる。殺人を繰り返した者、殺人を上から指示した者、殺人を依頼した者...など、数多くいるんだけど、まさかその中に観客自身が含まれるとは思いもしなかった。
実話ベースの暴力映画で暴力要素を十分に描いた上で、実話ベースの暴力映画を娯楽として見る人へのアンチテーゼも含んでいる...
しかも、この映画において「先生」は完全なモンスターとして描かれているけど...一方で「先生」のように高齢者を排除してお金を生み出してくれる存在を、誰もが欲しがる可能性がある...という描写が本当に怖い。
一つの視点だけではなくて複数の視点から描いたことで様々な捉え方ができるようになっている......

死体をバラバラにして燃やした後美味しそうなチキンを画面いっぱいに出すのは悪趣味が過ぎないか。
豚肉丸

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