デニロ

ガラスの墓標のデニロのレビュー・感想・評価

ガラスの墓標(1969年製作の映画)
3.0
K's cinemaの作品紹介には、/当時同棲中のバーキンとゲンズブールがドラッグ、暴力、乱行…全編得体の知れないエロテイシズムとデカダンな匂いを撒きちらす異色のフイルム・ノワール。/と記してありましたが。

70年前後だったと思うけれど、セルジュ・ゲンズブールとジェーン・バーキンの愛の交歓「Je t'aime... moi non plus」という楽曲らしきものがあって、翻訳しなくたってふたりの声だけでエロいんだけど、それがなんとNHKFMで流れたということで評判になった。くだらないことを覚えているものだが、今時の中高生の様にインターネットで検索すればすぐにそれが何なのか分かる時代じゃなくて、当時の少年はセクシャルな妄想に耽溺してしまいます。が、無論、その知識に限りがありその妄想にも限界があったのですが。

そのふたりが本作の主演。原題は、大麻。でも、上映開始前にテロップが出て/これは大麻についての映画ではない。愛とアクションの映画である。/などとわざわざ言い訳をしている。意味が分からない。

セルジュとジェーンのカップルの話ではなく、もうひとりポールというセルジュの弟分の相棒が絡む。ふたりは殺し屋コンビなのです。兄貴と一緒じゃなきゃいてもたってもいられないポールは、横から割り込んできたジェーンが大っ嫌い。セルジュとジェーンの愛の交歓には嫉妬の念を燃やす。殺しの家業に疲れ果て足を洗って若く美しくジェーンとふたり静かにニューカレドニアにでも行って感じ合いたいとかんがえ始めるセルジュ。ポールに、廃業する、コンビも解消だと告げると、じゃ、俺も辞める、兄貴ぃ一緒に連れてっておくれよ。が、セルジュはつれない。三角関係ならぬ2対1の話。

セルジュとポールの的になっている新興麻薬組織のボス/クルト・ユルゲンスも気を吐いておりますが、173センチのスレンダーなジェーン・バーキンの裸体にはかないません。なんたって、大麻の話じゃなく、愛とアクションのお話なんだから。

1970年製作。原作F・S・ジルベール。脚色フランツ・アンドレ・ブルジョ。監督ピエール・コラルニック。

K's cinema 奇想天外映画祭2023 にて
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