Neki

乱暴者(あばれもの)のNekiのレビュー・感想・評価

乱暴者(あばれもの)(1953年製作の映画)
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『理由なき反抗』のちょっと前に公開された映画。同じ系譜。全然関係ないけど、5センチはあろうかというあのヒールであれだけ走れるヒロインすげえ👠

アメリカ映画として初めて暴走族を主題に取り上げた映画であり、この映画以降あるバイクが人気になってライダースとジーンズがファッションシーンを席巻したらしい。

体制(システム)に反抗する若者、
保守的で画一的な体制からの逃避行を望む若者、
体制に抗えない大人、
体制の上層にいる大人。
4つの立場が明確に描かれているあたりが、『理由なき反抗』よりも当時の状況を正確に描き出している。(と、思う)

お前が何者かお前自身もわかっていないんだろうってセリフが作中あるけど、きっと本当にそうだったんだろう。

戦争が終わった後、どこにぶつけていいのか分からない(というかぶつけてもつぶされるしジェームズ・ディーンの登場前で共通言語もまだ構成されてないから共有できない)からパンクになっていくしかない若さ。大きな物語が一つ終焉してしまって、自分たちを規定することができない存在不安だけが日に日に大きくなっていく。

現代の若者とて精神的な状況に大差ないと思うけれど、でも彼らにはまだ明確に「反抗」できる対象があった。政府とか社会のシステムとか。
だから彼らの反抗は後世から見てもなんかかっこよく見えるんだろうな。ファッションアイコンとして、エポックメイカーとして。

同じく人は死んでしまうんだけど、でも体制側である大人が結局は助けてくれるところが個人的には理由なき反抗よりも好き。
トロフィーが象徴するものについてもう少し考えたい。
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