Daisuke

ふたりのイームズ 建築家チャールズと画家レイのDaisukeのレビュー・感想・評価

3.6
[二人の椅子]

映画の次に趣味にしてるのが「椅子」だったりします。
自宅には何脚か大切にしてる椅子があり、最近、あるお店でまた気になる椅子を購入してしまいました。

それは、イームズの「アームシェル」と呼ばれるチェアです。(3rd モデル初期のサーモンピンク、ベースは白のキャッツクレイドル)

自分の家にはイームズの椅子が2つあり、これで3つ目にもなるのですが、何の影響なのか、どうしても美しいデザインのチェアが好きで仕方がないんです。

コルビジェのシェーズロング
ヤコブセンのスワンチェア
ミース・ファン・デル・ローエのバルセロナチェア
パントンのパントンチェア
リートフェルトのレッド&ブルーチェア
ジョージ・ネルソンのココナッツチェア
ブロイヤーのワシリーチェア

どミーハーの自分は、上記の椅子達が本当に美しいと思っていて、何かで急にお金がたくさん入ってきたとしても、そのお金は全て椅子に消えてしまうかもしれません。(いや妻に殺される...)

とはいえ、先程も書いたように「ど」が付くほどミーハーな自分は、デザイナー自身の事をそこまで深く知らなかったりします。
もちろんイームズ の映画や映像作品は学校ですでに鑑賞済みではありましたが。
(余談ですが、池袋グランドシネマサンシャインのIMAXオリジナル短編「トランスフィアー」の中で、イームズ の「Powers of Ten」のような映像表現がありました)

椅子の購入を機に、もう少しイームズの事を知りたくなり、この映画を鑑賞してみました。

この映画は、チャールズ・イームズ とレイ・イームズの「二人がどんな人物だったのか?」を社内の人間達やポール・シュレイダー監督が活き活きと話していました。

もう少しチェアについての掘り下げた部分が知りたかったのですが、とはいえ今作は、二人の出会いと仕事、そして最後までを通し「彼らのデザインの核とは何か?」という概念的な部分にフォーカスしていた作品だったように思います。

二人がデザインしたイームズの椅子というのは1950年ごろに生まれました。それが2020年になった今でも、美しいと私を魅了してくるのは何故でしょうか。

それはこの映画にも滲み出ている通り「二人のイームズ」が、仕事を「真剣に遊んでいた」からだと思います。
商業、アート、遊び心、それらがデザインの細部へと枝分かれして流れ込み、完成していたんだなと。
そしておそらく二人は、人間的な魅力に満ちていたのだと思いました。


外を動かすチャールズ
内を動かすレイ

まさに一心同体で、それは二人が「亡くなった日付け」にも示されていました。

自分が買った椅子の、遠い昔の物語。

二人が、あーでも無いこーでも無いと言って作り上げる楽しそうな様子を想像しながら、大事に使っていこうと、改めて思ったりしました。
Daisuke

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