てくのすけ

嘆きのピエタのてくのすけのレビュー・感想・評価

嘆きのピエタ(2012年製作の映画)
4.0
冷酷な取立屋の前に現れた母を名乗る女、というキム・ギドク監督作。母は何者か?というミステリで引っ張りながら徐々に変容していく主人公の心情と、並行して描かれるうらぶれた町工場街の悲哀。人間らしい心を取り戻した途端自分の行動全てが悪意で返ってくる皮肉。これは壮絶。

金とは始まりであり終わりであるというセリフに詰まった金に翻弄される恐ろしさ。食料として生きたままの動物を出すのも「食い物にされる」という暗喩か。そしてタイトルの「ピエタ」がハマりすぎてて突き刺さる。ラストの赤いラインも凄まじい。親子の愛と資本主義における憎が混然となって襲いかかる。
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