ヴィンセントヒロ

嘆きのピエタのヴィンセントヒロのレビュー・感想・評価

嘆きのピエタ(2012年製作の映画)
3.8
The 韓流❗ 
 閉塞感。残酷。本能的。疑心。親子。愛。哀。復讐。犠牲。絶望。
そして、切望です。更にラストは贖罪の、血の色の巡礼。
 親の愛を知らずに生き抜いてきた男。その生業は、冷酷な借金取り。
返済不能な債務者を追い込み、死一歩手前の障碍者へ変えて保険金で補填。情け知らずの鬼。
 そんな親知らずの主人公に、母を名乗る一人の女性が現れ、疑心と戸惑いで扱いに苦慮の挙げ句、暴力的アプローチしかできない彼。それでも献身的で見返りを求めない母を名乗る女性。やがて氷の心は融かされて、母の愛を受け入れ、また深く母を思うようになる。
 ここから物語は一変します。
命をかける、命を棄てる。命の壮絶なやり取りが、愛と報復という名の元にスクリーンに投影されます。親のいない捨て子の主人公の母を求める切なる願望。人の親として、子を慈しみ、哀れむ母性愛。やがて全てを知り、己れの罪を償う巡礼へ。
 観ていてとてもキツイ場面もありますが、とても人間性が剥き出しの演出で芸術的でした。