純

愛のあしあとの純のレビュー・感想・評価

愛のあしあと(2011年製作の映画)
3.3
フランス映画らしく、お洒落で静かな美しさがある作品。ストーリーのテーマは一貫して、愛。身内内で繰り広げられる様々な愛の形が深く丁寧に描かれている。少しアブノーマルな関係にも思えるが、私はある意味超現実的な気がした。誰だって1度誰かを好きになったら簡単に嫌いになることなんてできない。成就する恋があれば、叶わない恋もある。報われないと分かっていて愛することと、気がかりな気持ちを残したまま愛されることのどちらを選ぶのか。人は少なからず自分や周りの人には悲劇は起こらないと思っているはずだ。だからあるものの価値や自分にとって持つ意味を、失って初めて気づく、あるいは気づいていたのにたかをくくって伝えるのを先延ばしにして、後悔するのだろう。かけがえのないものを失うということ。人生を振り返った時、自分が1番輝いていた時代こそ、その時を生きている間は気がつかないこと。悲しくも切ない人生を愛を中心に描いた映画だった。大人になってから観ると、今よりも親近感を抱いて鑑賞できるのではないだろうか。
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