こなつ

ビフォア・ミッドナイトのこなつのレビュー・感想・評価

ビフォア・ミッドナイト(2013年製作の映画)
3.6
1995年から2013年まで3部にわたり、メインキャストを変えずに二人の時を追ったラブロマンス。恋愛映画の金字塔と言われたビフォア3部作。

1作目「ビフォア・サンライズ」では、ユーロトレインでロマンチックな出会いをし、2作目「ビフォア・サンセット」では、9年後にパリで運命的な再会を果たしたジェシー(イーサン・ホーク)とセリーヌ(ジュリー・デルピー)。

1部2部を連続して鑑賞したもののその後に鑑賞した3部「ビフォア・ミッドナイト」はなかなかレビューが書けずにいた。

パリで再会したものの帰国便の時間が迫っていたにもかかわらず、ずっとセリーヌのそばにいたジェシー。飛行機に乗ったの?乗らなかったの?2部のラストは意味深で二人の未来を想像するしかなかったが、9年後の二人はやっぱり、、、突然現実的な二人の姿に戸惑う。

9年後、二人は結婚していて可愛い双子の女の子がいた。友人の招待でギリシャでのバカンスを楽しんでいる一家だったが、シカゴに住んでいる元妻との息子ハルクもギリシャで一緒に休暇を過ごした。アルコール中毒の母親(ジェシーの元妻)とその新しい恋人との暮らしに嫌気を感じている様子のハルク。9年前にパリで再会した時、既にジェシーは結婚してハルクがいたから、大きな犠牲の上に二人は運命の人との新しい生活を始めたことになる。

相変わらずの会話劇。1部や2部での甘い会話はさすがになく、恋人にしろ夫婦にしろ、9年間も一緒に暮らして行けば、倦怠期にもなるしイザコザだってあるだろう。それでも、ギリシャの港町の美しい景色の中で繰り広げるリアリティのある二人の会話は、運命的にめぐり逢い、積み重ねてきた愛情の強さを感じる。

監督のリチャード・リンクレーターは、「6才のボク、大人になるまで」でも6歳の少年が18歳になるまでの12年間を同じキャストで撮影している。イーサン・ホークは父親として出ていた。その場限りの役ではなく、長い間イメージを壊さないで一人の人物を演じるというのは、俳優にとってはとても難しいことではないかと思うが、イーサン・ホークもジュリー・デルピーもずっと魅力的なキャラクターで私達を惹き付けてくれたのは凄い。

ラストは綺麗に纏められていて、魅力的な二人の笑顔が素敵だった。
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