kkkのk太郎

ワールド・ウォーZのkkkのk太郎のネタバレレビュー・内容・結末

ワールド・ウォーZ(2013年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

謎のウイルスの蔓延により崩壊した世界を舞台に、事態を打開する術を見つけるために奮闘する元国連捜査官レインの姿を描くゾンビ・スリラー。

主人公ジェリー・レインを演じるのは『セブン』『オーシャンズ』シリーズの、名優ブラッド・ピット。なおピットは本作の製作も務める。

本作を観てまず思ったこと。
…ブラッド・ピットに「良き父親」役、全然似合わねぇーー💦
思えばブラピ出演作品を20本近く観てきた訳だが、大体彼が演じるのは一匹狼のアウトロー。結婚していたとしても、大体その家庭はすでに崩壊している。
”男らしさ”の権化みたいな見た目してるし、本人の私生活からしてそんな感じだし、ある程度はしょうがないとは思うんだけど、それにしても今回みたいな「家族のために頑張るパパ」の似合わないこと似合わないこと。こんな完璧超人みたいな主夫がいるかっ∑(゚Д゚)
トムにしろレオにしろジョニーにしろキアヌにしろ、一級ハリウッド・スターに家族は似合わない。例外はウィルくらいのものか。
今作で従来のイメージを払拭し役の幅を広げようとしたのだろうがそれには失敗している。ブラピ本人もそのことに自覚的で、その後の出演作ではいつも通りのザ・ブラピな役どころを演じている。やはりどんな名優にも向き不向きはあるのだ。

地球温暖化が云々、イルカが大量死して云々という、このお話に関係があるのか無いのかわからないナレーションから映画が始まる訳だが、この真面目さがいかにもプランB制作の映画という感じ。
全世界にゾンビが溢れかえるという、冷静に考えるとバカバカしすぎるストーリーをクソ真面目に描いているのが本作の独自性であるとは言えるのだが、正直言ってここまでシリアスかつ厳しい面構えの映画にする必要があったのかについては甚だ疑問が残る。

全力ダッシュするゾンビィ軍団、人間ピラミッドで城壁を破るゾンビィ軍団、恐るべき吸引力により吸い取られるゾンビィ軍団etc…。
本作のゾンビたちはとにかく活きが良い。大間のマグロ・鳴子のイカ・ゼットのゾンビというぐらいのピチピチ加減である。多分この人たち生きている時よりもハッスルしている。
そんなゾンビィたちvsブラピという夢の対決なのに、無駄にシリアスなため全然映画が跳ねていない。
例えばAC/DCやモーターヘッドなどのHR/HMをBGMにしてブラピvsゾンビィ軍団の全面戦争を描いていれば、スゲー盛り上がる映画になった筈である。
アメリカ、韓国、イスラエル、ウェールズと世界中を転戦するブラピ。こんなん絶対に面白くなるんだから、真面目なストーリーなんてはっきり言って不要。ただただブラピがゾンビをぶっ殺しまくる景気の良い映画が観たかった。

この映画の問題点は、無駄にシリアスな空気感を纏っているくせにところどころの展開が間抜け過ぎるところ。
例えばあの韓国パート。「自然は優秀なシリアルキラーだ…」なんて凄んでいたウィルス学者。さぞやこいつが大活躍するだろうなと思っていたら…。うっそだろっお前!!?
ここ、映画のトーンがもっと明るかったりコメディ調だったりしたらもう抱腹絶倒の爆笑シーンになっていた筈なのに、この無駄なシリアスさのせいでギャグシーンなのかなんなのかよくわかんなくなってしまっていた。

「絶対に音を立てるな…」からの携帯ピロピロだって、こんなん完全にギャグですやん。映画の上映中とゾンビミッション中に携帯の電源を切ることはマナーだぞブラピ!😡
イスラエルでのドンちゃん騒ぎがゾンビを誘き寄せちゃうところなんかもはっきり言ってブラックコメディなんだけど、この映画はそういうところを真面目に描きすぎている。あえてギャグをギャグとして演出しないという高度な笑いの取り方をしている感じでもないので、ただただ人間たちが間抜けに見えてしまう。
人間の醜さや滑稽さをシニカルに描き出すというのは確かにゾンビ映画の定石である。ただ、それなら映画のトーンをもっと親しみの湧くものにしておいてほしい。いくらプランBだからって、ゾンビ映画まで『ムーンライト』(2016)みたいな筆致じゃなくてもいいだろっ!!

ゾンビ映画であることを隠すかのような宣伝が物議を醸した本作。「Zデー=終末の日、来る…」みたいな予告編でしたけど、映画会社さんそのZはゾンビのZですよ。
ただ、この映画は何が起こっているのかよくわからないまま主人公がその渦中に巻き込まれていく、というストーリー展開なので、まぁ確かにゾンビ映画であることは隠しておくことについては間違いじゃない気もする。

冒頭、渋滞からの大パニックという静から動への転換は確かに好奇心を唆る。事態を飲み込めないブラピのアタフタが観客の気持ちとリンクしており、臨場感にあふれていた。
…ただ、ここ臨場感を演出するためにとにかくカットの切り替えが早い。しかも映像がめちゃくちゃブレてる。正直、ここでめちゃくちゃ酔ってしまった…🌀気持ち悪くなってしまって物語が全然頭に入ってこない…。
最近はあまりこういうカメラワークって見なくなった気がするけど、10年くらい前の作品だと結構あるんですよね。『クローバーフィールド/HAKAISHA』(2008)とかもめちゃくちゃ酔ったなぁ…。とにかく、酔いやすい人は鑑賞注意⚠️

ブラピはかっこいいしゾンビィ軍団の活きは良いしで観ていて退屈はしない。楽しめたっちゃ楽しめたのだが、この題材でこのキャストならもっと面白くなっても良かったと思う。
一時期、デヴィッド・フィンチャー監督で続編を撮るという企画が進んでいたらしいがそれはポシャってしまった。フィンチャー×ブラピなら間違いなかった筈なのに…。今からでもこの企画復活しませんかねぇ…🧟🧟‍♀️
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