まぴお

くちづけのまぴおのレビュー・感想・評価

くちづけ(2013年製作の映画)
2.7
【泣けたらいいの?物事解決するの?】

何度も言うが僕とっては障害者モノは鬼門だ。

障害者とはメタとしてどうしても「純粋」という言葉が思い浮かべるしそこから「家族愛」など美しいモノに繋げやすいからだ。

もちろん美しいモノがダメなのではない。
しかしこういった作品はキレイ事で泣ける結末を迎えることが重々にあるからだ。そしてこれも例外でない。

先に言っておくと「泣ける映画」が「良い映画」イコールという図式は成り立たない。

この作品も残念ながら「泣けたらいいじゃん」という部分が全面にでてリアリティに欠ける内容となっていた。

この脚本・主演の宅間孝行および監督である堤幸彦は本当に障害者の関することを調べてこの作品を作ったのであろうか?とにかく酷すぎる。
グループホームの運営方法。障害者だから不法侵入してもゆるすという設定。勤務中に酒を飲むスタッフ。はるかの同級生の行動。障害者基礎年金のエピソードとその後の対応。

リアリティが大きく欠如したこの作品はすべてが演劇的な誇張で演出され設定や健常者含めていやいやこんな奴いないだろという白けさせる要素が満載だった。
もちろんこの原作が舞台であったことは知っている。しかしそこには漫画原作ものをリアルで演出すると途端に嘘くさいまたはこっ恥ずかしい台詞や行動になるのと似てる。漫画や演劇では違和感を感じなかったものが映画化となった途端にリアリティが欠如したように感じるあれだ。

何も漫画や演劇にリアリティが欠如していると言ってるのはない。
そこにはそれにあった演出があるのだ。ところがこの堤幸彦はそんなことは一切無視しておまえら全員障害者なのか?という演出をぐいぐいと押し付けてくる。

問題定義をした上でその解決策を見せることせず悲しい親子がいたよ。
でも美しいでしょ?泣けるでしょ?じゃあ納得いかないわけですよ。

泣けたねぇ~障害者を持つ親って大変だねぇ福祉関係の人って大変だねぇ

で明日にはすっかり忘れてなんの行動にもつながらない映画なんて絶対「良い映画」じゃないです。

492本目
まぴお

まぴお