ちろる

くちづけのちろるのレビュー・感想・評価

くちづけ(2013年製作の映画)
4.3
苦しくて、苦しくて後半息ができなかった。
映画でこんなに泣いたの半年ぶりくらいで、顔がぐちゃぐちゃになった。
ひまわり荘を中心とした舞台のような構成で、コメディ調は雰囲気だからほのぼのとしたハートフルなお話かと思って身構えずに観たことを後悔したくらい重い映画だった。
わたしのような未熟な人間がこのお話についてとやかく書くことなんか何もできないし、多分この結末に多くの賛否があった理由はとても理解できた。
この作品を素晴らしい作品だと言ってはいけない理由一つに、真実はもっとこれよりも過酷だということもあるのだろう。

私のように映画を見ている間、ひまわり荘の出来事見て笑ったり泣いたりは簡単で、でもこの裏で24時間不安感に苛まれながら生きている障害者の方たちの家族がいるのだろうと思うと、この映画を観て感想を書くだけで終わりにしていいはずはないのだろう。
入り口と出口は至ってソフトに描かれているけれど、それでも後半のいっぽんの苦しみの描写はやはり強烈で、観た後もあのシーンが重くのしかかってくる。
あなたはこれについてどう思いますか?
と、問いかけてくる。
わたしはやはり何も考えが浮かばなくて呆然とするだけで、自分の弱さを再認識することになるからずっと苦しい。
だから意見としては何も書けない。

しかし映画と枠の中で、このようら障害者問題に関して、疑問を投げかけつつ、決してエンタメ性を損なわず、単なる悲惨なドキュメンタリーにしないで作り上げた監督や役者の技量は素晴らしいと素直に思った。
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