りりこふぃ

オブリビオンのりりこふぃのネタバレレビュー・内容・結末

オブリビオン(2013年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

映像も凄いし、設定もおもしろい。

舞台は未来の地球。

宇宙からの侵略があり、
地球に住めなくなった人類は、
マーズへと移住。

地球から海水を得るためのプラントを
管理する任務で地球にいるジャック。
それを邪魔する敵。

任務が終わるとマーズに行ける。
それを心待ちにしている
同じく地球で任務にあたっているヴィカ。

だけどジャックは、
地球を離れることを寂しく感じている。

...

ああ、そうゆうことだったのか!と、
驚きながら、後半は鑑賞していました。

記憶がないこと、夢のことあたりから、
彼が過去の人間で、記憶操作されて
働かせれている感じはありましたが、
まさか、大量に造られたクローンとは。

本当の敵は何かというところは
徐々に感じられたものの、
汚染区域の意味にはびっくり。
(たぶんクローン同士が接触しないための境界線)

宇宙からの侵略者と
人類の戦いのお話を観たつもりでしたが、
クローンは「誰」なのかという
難しい問いを投げかけられた映画でした。


ここからは推察も含まれますが、、、


本作でクローンは
姿だけではなく、潜在的な意識も
本体から引き継いでいると描かれています。

なので「記憶」は消去されていても、
夢や潜在意識として、
クローンになる前の本体の過去に影響され
行動するようになっていくようです。

主人公のジャックは、
愛する人と過ごした潜在意識があるので、
地球への愛着があるし、
何かおかしいと感じている。

パートナーのヴィカは、
おそらくクローンになる前の本体のときから
ジャックを愛していた。
だけど、地球ではジャックは妻がいた。
自分のものじゃなかった。
その潜在意識があるから、
結ばれなかった地球から離れたいし、
ジャックへの執着も芽生えてしまう。

ジャックは
知らない女性を愛し、幸せに過ごす夢を
繰り返しみていた。

ヴィカの夢は描かれていませんが、
もしヴィカもジャックのように
夢を繰り返しみていたとしたら、
ジャックが知らない女性と
幸せそうにしているのを、
ただ眺めている自分の夢だったのかも。

パートナーとして任務にあたる2人ですが、
この潜在意識の違いで、
「パーフェクト」なパートナーでは
なくなってしまう。

それが大体5年周期。
その度に、
新しいジャックとヴィカに入れ替わって、
また地球での任務にあたる…
ということが数十年繰り返されていた。

だけど宇宙船の帰還によって、
ジャックの妻が戻ってきたことで、
その繰り返しに終止符がうたれる。



ストーリーは深いし、映像も綺麗なのに、
何か足りない。
心が揺さぶられない。

ハッピーエンド風なんですが、
個人的には疑問符がつきました。
え、それでいいの?って。

おそらく観た人が、
「クローンは、本人と同じ」
と考えているか
「クローンは、似ているが別人」
と考えているかによって、
感想が分かれるのではないかと思います。

「クローンは本人」と考える人には
ジャックが戻ってきてハッピーエンド。

「クローンは別人」と考える人には
え、それでいいの?って気持ちになる。
(私はこっちでした)

どうやら妻は「クローンは本人」と
考えているようで、

目の前にいるジャックはクローン
=本体ジャックはたぶん既に死んでいる

ってなったときにも、
あんまりショックを受けていなかった。
(そんな妻に私はショックを受けました)


あと、、、
ヴィカが報われなさすぎる。
ジャックに執着してはいたけれど、
敵の手先だったわけでもないのに、
まるで悪役のような扱い。
ラストも、
もう一体生きてるクローンヴィカも
いたはずなのに、描かれていなかったし。

クローン夫1号でも2号でも
すぐ受け入れる妻よりも、
クローンになってでも
ジャックを愛し続けるヴィカの方が、
個人的には人間味があって好きです。

「クローンは別人」と考える私には
共感もできず、感動もあまりなく
物足りない印象になってしまいました。

ただ、ドローンアクションや
未来の地球の映像は素晴らしく、
ストーリーには驚かされる仕組みがあり、
「クローンは本人か、別人か」と
考えさせられる深みのある映画でした。
りりこふぃ

りりこふぃ