もう 圧倒的な映像美と 心象の絵力…
色々と加工は施されてそうだけど フレアは一切入れ込まず ひたすらにヌケの景色で 人物の絶望と哀しみを淘汰してゆく構図が 人の業の良し悪しとは裏腹に ただただ純粋に美しかった
監督自身が亡命の身であったり 婚約者の監禁があったりと 当たり前に映画を撮る事さえままならない過酷な状況だからこそ ほんの一幕 一場面にさえも 緻密に計算尽くされた構成が生み出されてるのかもなぁ
実際に 平凡に生きてる自分がとっくに忘れてるような 或いは普段気付けないような 何気ない雨の匂いや潮騒の凶暴さ
そんな不明瞭だけど確かに在って ココロに訴えかける"憂い"が ズッシリとのしかかってくる 撮られるべくして撮られた作品だと思う
頼りなく浮かび上がる光によって
一層深い闇を帯びて見える 底無しの残酷さが
未だに世界中で 人々の幸せを 黒く塗りつぶし続けてるんだろうなぁ