みりお

インポッシブルのみりおのレビュー・感想・評価

インポッシブル(2012年製作の映画)
4.3
スマトラ島沖地震により、異国の地で被災して離れ離れになった外国人親子の実話を描く物語。

まず何よりも語りたいのが、津波の映像のクオリティの高さ。
どうやって撮ったんだろう?と調べてしまうくらい、リアリティがあって怖すぎる。
一寸先も見えないような真っ茶色の濁流にもみくちゃにされて、水に揉まれるうちに肉が捲れ上がるほどの傷を負って、手を伸ばせば届く距離の我が子の手を掴めない様子は、本当に恐ろしい。
我らがスパイディのトム・ホランドのデビュー作で、出演当時15歳くらいのようだけど、おそらく演じている役は10〜12歳くらい。
トムホほどの身体能力がなければ子供が演じきれなかったのでは?と思うほどの映像だった。
東日本大震災の被災者の方に配慮して、日本では長らく津波の映像は自粛されてきたけれど、この恐怖は、震災時に身を守る教訓として観せるべきかもしれないと思ってしまったほど。

そしてとにもかくにも、子役のトムホがうますぎる。
言葉の通じない大人たちに囲まれながらも瀕死の母を守ろうとする、その恐怖と重責の間に板挟みになる幼い子供の表情がなんとも言えなくて…トムホの表情だけで何度も涙を流してしまった。
病院で震えてまるまっていたトムホが、何か自分にできることはないかと勇気を奮い立たせ、病院中を走り回って離れ離れになった家族の再会をサポートするときの、徐々に責任感に満ちていく少年の表情の変化がたまらない。
幼い3人の子供を震災から守ろうとするユアンパパとナオミママの演技も本当に素晴らしいんだけど、本作で言えば完全にトムホに食われてて、この作品の感動は、99%がトムホのおかげではと思ってしまう✨

そしてトムホと同じくらい、三兄弟の弟を演じた男の子たちの演技が素晴らしい。
声にならないほど叫びながら、家族の絆を確かめる再会シーンは、もはや滝のような涙が😭
天才子役3人が集結した奇跡の作品に、目頭が熱くなって止まらなかった。

スマトラ島沖地震の死者・行方不明者は22万人。
そのうち本作の舞台となっているタイでは、5300人が被害に遭ったと言われている。
ちょうどクリスマスシーズンで、リゾート観光地が多いタイには外国人観光客もかなり多かったそう。
きっと本作のように、現地で言葉もわからず、トラックの荷台に何日も揺られながら国中の病院を回って家族を探した人が、たくさんいたんだろう。
昨日まで当たり前に隣にいた家族が、どこにいるのか、無事でいるのかすらわからないことが、どれほどの恐怖か…
幼い子供を連れて、自身も怪我に見舞われて、万全ではない状態で何日も歩き回って家族を探すことが、どれほどしんどいことか…
震災とは本当に恐ろしいもので、記憶の中で風化させてはいけないと、強く強く感じた作品だった。


【ストーリー】

クリスマス休暇をビーチ・リゾートで過ごすため、マリア・ベネット(ナオミ・ワッツ)と夫のヘンリー(ユアン・マクレガー)は、3人の息子ルーカス(トム・ホランド)、トーマス(サミュエル・ジョスリン)、サイモン(オークリー・ペンダーガスト)を連れタイのカオラックを訪れる。
リゾートを満喫するはずが、クリスマス翌日、2004年のスマトラ沖地震に伴う未曾有の津波に巻き込まれる。


【キャスト・スタッフ】

*監督:J.A.バヨナ
『ジュラシック・ワールド/炎の王国』でみりぺでぃあ記載済🌟
監督作はたった4作と少ないバヨナ監督ですが、1本1本を丁寧に撮影するという評価がある通り、本当に丹精込めて撮った作品だなと感じました。
『炎の王国』で、首長竜が溶岩に包まれていき、人間のエゴで甦らされた命が、同じく人間のエゴで儚く散っていく様子が、本当に辛くて苦しくて…この監督さんの撮る画は心に迫ると思っていたのですが、本作も素晴らしかった👏
俳優さんたちの表情にフォーカスした切ない映像が、美しい音楽と共に展開する作品に魅入られてしまいました✨


*マリア:ナオミ・ワッツ
イングランド出身🏴󠁧󠁢󠁥󠁮󠁧󠁿
両親の離婚が原因でオーストラリアに移住し、1そこで演劇学校に通いながら10代でデビューし、細々と女優活動を続けていたようですが、売れない時代が続いたことから女優活動を断念して、モデルとして生計を立てるために、なんと日本へ移住👀!
しかしモデルとしてもうまくいかず、なんと販売部門へ回されたんだとか💦
ナオミ・ワッツが何か販売してたら即買ってしまいそうなんだが…✨笑
その後オーストラリアへ戻り、1993年頃から女優活動を再開するも、B級映画に出演する日々が続きましたが、2001年の『マルホランド・ドライブ』で数多くの映画賞を受賞したことから転機を迎え、その後2003年の『21グラム』で初めてアカデミー主演女優賞にノミネートされました🏆
主な出演作は『ベイブ/都会へ行く』『ザ・リング』『キング・コング』『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』『ダイバージェント』シリーズなど。


*ヘンリー:ユアン・マクレガー
『ドクター・スリープ』でみりぺでぃあ記載済🌟
本作では可愛らしい笑顔は封印🙅‍♀️
終始苦しそうな表情のユアンを観ているのは苦しいけれど、息子たちと再会した時のユアンの表情でまた号泣😭😂
涙腺崩壊しました💦


*ルーカス:トム・ホランド
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』でみりぺでぃあ記載済🌟
本作撮影当時15歳くらいですが、すでにずば抜けた身体能力と演技力👀✨
本作の印象を語ろうとすると、トムホの不安に押しつぶされそうな顔が浮かんできて、本当にトムホの演技に思考が支配されます✨
改めて、子役としても天才的な俳優さんだっだんだなと実感しました👏
みりお

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