無名のひと

ディスコード -DISCORD-の無名のひとのネタバレレビュー・内容・結末

ディスコード -DISCORD-(2012年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

母ジュディを亡くしたニコールは、娘エヴァを従姉妹のリズに預けて実家に帰省していた。
妹アニーはジュディを許すことができず、葬儀への参列も渋るほど。
電気は明滅し、電波も悪い。
ニコールは、嫌な気配を放っているクローゼットに入って姿を消してしまった。
そこで場面が変わり、実家に帰省するアニー。
しかし家のどこを探してもニコールはいなかった。
実家に泊まったアニーは物音で目を覚ます。
様子を見に行くと、冷蔵庫が開いており、ピクルスの瓶が落ちていた。
とうとう葬儀の当日にもニコールは現れなかった。
葬儀に出席したリズとエヴァ共々実家に泊まるアニー。
痩せた男の背中を夢に見たアニーは目を覚ますが、今度はリズが姿を消していた。
リズ探すアニーだったが、誰もいないにも関わらず何者かに足を引っ張られる。
アニーはエヴァを連れて警察署に駆け込み、クリーク刑事に事情を説明する。
エヴァを預けたアニーは、実家に帰らずホテルに泊まった。
アニーが眠っている間、携帯のグーグルマップがある場所を指し示していた。
草原のベンチに腰かけたワンピース姿の女性の背中が映っており、一瞬目を離した後、その女性はこちらを向いており、ある一点を指差していた。
アニーが実家の間取り図を見ていると、あるはずのないところに部屋が隠されていることを発見する。
クリーク刑事を伴って実家に戻り、壁紙を剥がして部屋に入ってみる。
そこは、骨組みのベッドがあるだけの部屋だった。
壁には至るところに穴があり、そこから家の様子を見ることができた。
アニーは高校の時の同級生で霊感の強いスティービーに家を見てもらうことに。
スティービーは、ニコールとリズは下におり、誰かがアニーと話をしたがっていると言う。
そして「ジューダス!」と叫んで体調を崩してしまう。
ジューダスという単語を検索したアニーは、それが7人を殺した殺人鬼のことだと知る。
グーグルマップでワンピースの女性が指差していた先に行ってみると、そこは教会だった。
教会には、ジューダスの最後の犠牲者ジェニファーとジュディとその兄が写っている写真があった。
ワンピースの女性はジェニファーで、アニーがジュディからもらった十字架のペンダントは、元々ジェニファーのものだったのだ。
その頃、クリーク刑事はアニーの実家を撮った写真をチェックしていた。
そこに白い手のようなものが写っており、どこかを指差している。
早速家に向かって調べようとしたところ、何者かに喉を刺されてクリーク刑事は死んでしまう。
再びスティービーに会い、どうすればいいかと話を聞いたアニーは、隠し部屋で交霊術をするように言われる。
スティービーの言う通り、アルファベットとYESとNOを床に書き、ジェニファーの十字架を使って交霊術を始めるアニー。
降りてきた霊は、地下と“ジューダス”を指し示した。
その時物音がし、アニーは慌ててカーテンの裏に実を隠す。
ベッドの下に出入り口が隠されており、そこから上半身裸の男──ジューダスが現れた。
ジュディはジューダスを地下に匿っていたのだ。
男はドアとは別に作られた出入り口から部屋を出て、冷蔵庫を物色している。
その間に地下に降りたアニーは、そこでクリーク刑事とニコール、リズの遺体を発見する。
クリーク刑事の携行していた拳銃を持ち出し、再びカーテンの裏に隠れる。
隙をついてジューダスを撃とうとするが失敗し、アニーはクローゼットに縛り付けられる。
ジューダスの持っていたナイフを奪って拘束を解いたところ、アニーは何者かに引っ張られて銃を手にすることができ、ジューダスを撃ち殺すことに成功。
その後エヴァを引き取ったアニーは、再び平穏な暮らしに戻っていくのだった。



姉妹が母親から受けた仕打ちというのがはっきり描かれていないことが気になる。
そのうちのひとつが、恐らくクローゼットに閉じ込められることだったんだろうけど、母親の葬儀を拒むほどのことだとは思えないから、もう少し説得力のある理由の説明がほしかった。
壁にあれだけ穴が空いているのに気がつかず生活していたのも不思議な話だ。
狭めとはいえ、ひと部屋分の空間が消されていることも気づかないもの?
大きな屋敷ならまだしも、普通の一軒家でそれはあり得ない気がする。
交霊術の直後の部屋に上がって、ジューダスは気がつかなかったのか。
アニーの声が聞こえていただろうし、術後でもろうそくを消した煙の匂いはしただろうから出るのは得策ではなかっただろうに、そこは違和感。
ジューダスが、アニーをすぐに手にかけずに縛ってクローゼットに突っ込むだけだったことも不思議。
気になることは結構あるんだけど、それでもかなり楽しんで見ることができたのは、ジューダスが生きているという意外性のあるオチだったからだ。
夢で、時に引っ張り、写真で指差したり、ジェニファーは必死にニコールやアニーにアピールしてたけど、ニコールは通じる前にジューダスに殺されてしまった。
アニーにグーグルマップなど大きなヒントを与えられたのは、アニーがジェニファーのネックレスを持っていたことがふたりを繋げた理由かもしれない。
ひとつ気になったのは、アニーが左右で色が違う特徴的な瞳をしていたけれど、ジューダスもまた同じ特徴を持っていたということ。
叔父と姪の血縁関係で遺伝した可能性もあるけれど、殺人鬼と知っても彼を地下に匿ったジュディは、ジューダスのことを愛していたのかもしれない。
もしかして、少なくともアニーはジューダスの娘だったのでは、と想像してしまった。
父親は失踪したという設定がその疑惑を強めるばかり。
ホラー映画に登場する霊能者系は大体役に立たないけど、スティービーはしっかり仕事をしている。
テンポが良く、見ていてアニーと一緒に推理しているような気持ちになって楽しく見ることができた。
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