やん

夏の終りのやんのレビュー・感想・評価

夏の終り(2012年製作の映画)
4.5
今年観た邦画でベスト。とにかく作品として素晴らしいデキ。昨今の邦画に観られるような品のない説明セリフを極力排除し、男女の三角関係の心の揺れ動きを見事に描写。作品の行間が非常に情緒的であり、そして重厚。満島ひかりさんの完璧な演技、その仕草ひとつひとつが宣伝文句のような「センセーショナルな愛」ではなく、非常に品のあるエロスを醸し出す。小林薫、綾野剛、両氏の抑えた演技も素晴らしい。そしてジム・オルークの大袈裟すぎない効果的な劇伴。舞台である昭和30年代の東京・横浜をここまで再現した美術は特筆もの。そこに微塵の違和感も無い。そしてなにより近藤龍人と氏の撮影の素晴らしいことと言ったら!とにかく写る全てが丁寧で美しい。見惚れます。完璧。
まぁ満島さん本人も言ってる通り、主人公・知子は満島さんでは若すぎるのも事実。それは否定のしようも無い。けど、この難しい役を満島ひかり以外、いまの若手・中堅の女優でここまで表現出来るとも思えないのも事実。そのへんの評価は難しい。人それぞれ。
そうそう、あとエンドロールも品があって素敵なんです。非常に日本的。懐かしい。ああいうの良いですね。
やん

やん