現時点で最後のウォン・カーウァイ監督作品。
ドニー・イェン主演でお馴染みの『イップ・マン』のもう一つの物語を描いています。
イップ・マンの死闘、秘められた恋、抗日戦争や、波瀾万丈な人生を描いた作品です。
主演はトニー・レオン。今作の為だけに、カンフーを徹底的に学び、三年間鍛錬に励んだそうです。なんと鍛錬中に骨折までしてしまったくらいに気合いの入れようだったそう。
ウォン・カーウァイならではの、映像美が炸裂した作品で、中国の広大な冬景色などが印象に残る作品です。カンフーシーンは、『マトリックス』のユアン・ウーピンがアクション演出していて、どちらかと言うと本格的と言うよりは、幻想的なアクションでした。今をときめくマックス・チャンも脇役で登場しています。カミソリこと、チャン・チェンも良かった!
トニー・レオンとチャン・ツィイーの秘められた恋は、なかなか泣かせるものがあり、サウンドトラックでは、エンリコ・モリコーネの楽曲も使用されています。
1997年ごろ、チャウ・シンチーとドニー・イェン共演で、今作の企画が持ち上がったものの、どちらがブルース・リーの役をやるかでモメてしまい、結局実現しませんでした。
日本ではとにかく評判悪い作品ですが、香港アカデミーこと香港金像奨では賞を総なめして、ウォン・カーウァイ作品としては、珍しく興行的に成功した作品でした。個人的にも結構好きな作品。
クライマックスは、結構胸に響くものがあります。
公開当時、言うまでもなく劇場に見に行ったんですが、若い観客が「MVみたいな映画」と話していて、カーウァイマジックも解けてしまったのかなと残念に感じたことがあります。
なんでも、カーウァイは『恋する惑星』の続編を企画しているそうなので、なんとか実現してもらいたいところです!