溌狩

グランド・マスターの溌狩のレビュー・感想・評価

グランド・マスター(2013年製作の映画)
4.0
『恋する惑星』などで知られるウォン・カーウァイ監督の作品なだけあって、格闘シーンも美しく、舞踏のように描いている。どのシーンも切り取ってピンナップにできるほど画が強いのだけど、その分テンポが独特になっていて、爽快に戦いまくるカンフー映画をイメージしていると面食らう。組手なども局所的なアップやスローモーションが多用されていて、正直、格闘シーンとしては若干見づらい部分があった。
あと、イップ・マンが一応の主役なのに前半以降はあまり出番がなくなるのが面白い。あくまでも日中戦争以降の世界に翻弄されたカンフーの道筋をドキュメンタリータッチに描くのが趣旨で、その中心としてイップ・マンが選ばれているだけなので主役というわけでもないのかもしれない。

1つ1つのエピソードが宙ぶらりんになったまま繋がることなく終わるのも、"物語"というよりは"歴史"を大観する作品だったからなのかな。急に出てきて急にフェードアウトした「カミソリ」ってなんだったんだ。カッコよかったから良いものの。歴史大系が書かれた巻物をパッと広げたような作品で、纏まりがないので観ていてフワフワした気持ちになった。変な映画っちゃ変な映画だと思う。

あ、そうだ。ガラスが割れるシーンが誇張なしで8回くらいあって何?と思った。
溌狩

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