だい

まぼろしの市街戦のだいのネタバレレビュー・内容・結末

まぼろしの市街戦(1967年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ブロカ作品らしい押し引きの利いたブラックコメディ。

テーマがしっかりしてて、
余韻がめっちゃ残る名作だけど、

まあ、あれだな、
全てにおいて今では作れないやつだな!!

悪意どころか、
「根っからの善良な人たち」
として描かれているにも関わらず、
それでもこういうのが撮れない世の中は…ポワゾン


城市の外には怖い獣がいるって、
絶対に出て行こうとしない人たち。

解放軍の入城を聞いて、
何もかもを脱ぎ捨てて病院へ帰る人たち。


「俺たちのことが羨ましいのか!?ここは誰もが平等な世界だ!」


区別・差別をしてくる「外」の世界から、
自ら檻の中に入ってきたハートのキング。

「外」の世界が帰ってきて、
彼らはまた、区別・差別によって区切られた檻へ帰った。


爆破の情報を恐れて逃げた市民たち。
精神病院の患者を連れて逃げようとする者はいない。
彼らは「市民」ではないのだ。

今までの市民がいなくなって、
初めて「市民」に成り得た人たち。

「解放」によって、
そんな「市民」の座を失う人たち。


勝利とか解放とか、
そんな華々しい言葉も、
誰かにとっては敗北なのだ。
見る角度だけの問題だ。



名前も、
立場も、
ルールが無ければ何にでもなれる。

常にルール通り、
名前も、
立場も、
一つに決められる社会。


「窓から旅するのがいちばん幸せさ」


プランピックは、
全てを脱ぎ捨てて自由を選んだ。


ぼくらは自由なのかな?
だい

だい