いとっ亭

クソすばらしいこの世界のいとっ亭のレビュー・感想・評価

クソすばらしいこの世界(2013年製作の映画)
3.6
パッケージ見て、メイド服着た女の子が復讐にメッタメッタ殺しまくる井口昇風の映画かと思ったんですわ。

スプラッターって、「デッド寿司」とか、ストーリーがぶっ飛んでても、テーマとかなくても、成立するから面白いんやと思うんよ。

でもこの映画は根幹に今の日本の大学生への皮肉がたっぷりで、例えば経歴に書けるからって大学通ってる奴なんてザラにいる。

高い金払って留学したかと思ったら日本人のコミュニティに引きこもって、結局そこまで英語話せる様になってる訳ではない。
挙句の果てには念仏みたいに周囲に感謝とか言ってFacebookに外人さんとのツーショットをアップする。


日本より地域差別や職業差別が最近まで根付いてて、日本以上の学歴社会の韓国出身の登場人物は、努力して英語もペラペラ。
その子はコカインとビールに浸って大した努力もせん日本人に呆れ返る。

「経歴に留学って書ければいいのよ。」
「何それ。」

一方白人殺人鬼は登場早々日本人をイエロー呼ばわり。
日本人の白人に対する劣等感の裏返しかと思えば白人の精神が日本人に乗り移る。

ここら辺から真面目に観てた自分が恥ずかしくなってビールを一缶開ける。

日本人の外見で白人の中身を手に入れた殺人鬼は、それまで兄に抑圧されてきた衝動を露わにして、

「白人を超えた!」

と日本人を殺しまくる。

日本人が怠けず英語ペラペラになれば最強って事。
しかし世の中そう甘くもなく、コツコツ努力してきた韓国人は猛反撃に出る。



三つの国の出身者達があれよあれよと血を撒き散らすこの映画こそバイリンガルなんだ。
血は言語を越える!
留学するときは真面目な心と自分を律する精神を持って初志貫徹しよう!!

下手な留学に対するアンチテーゼ溢れる映画でした!

なんじゃそりゃ。