爆裂BOX

クソすばらしいこの世界の爆裂BOXのレビュー・感想・評価

クソすばらしいこの世界(2013年製作の映画)
3.3
女流監督朝倉加葉子が「息もできない」のキム・コッピ主演で贈る和製スラッシャーです。
韓国人留学生のアジュンは日本人留学生グループに誘われ、アメリカの田舎町を訪れる。ロクに英語も話せず遊び惚ける日本人たちに苛立ちを募らせ、孤立感を感じるアジュンだが、帰る手段もないため仕方なく留まる事に。そんな中、殺人と強盗を繰り返す冷酷なホワイトトラッシュの姉弟が彼らに襲い掛かる…というストーリーになっています。
ストーリーは「田舎に遊びに来た若者達がそこに住む殺人鬼兄弟に襲われる」というベタなスラッシャー展開で進んでいきます。キム・コッピ演じる韓国人留学生が主人公で、日本人留学生たちはハッパやったりして遊び惚けてて英語も話せない(一人だけ英語話せる)という設定はまあちょっと異色かな。
日本人留学生たちは本当にろくでもないかんじで、まじめに勉強する気も無くてバカンス感覚で、経歴に留学経験ありと書けるから、という目的で来てます。当然、まじめに勉強する気満々な主人公アジュンとは溝が出来て彼女は孤立感深める事に。メンバーの中にも英語は話せないけど、アジュンの事気にかけてくれるエリカみたいないい子もいるにはいるんですがね。ロン毛の帽子の奴は活舌酷くて台詞何言ってるかわからない所あって余計イラつかせられたかな。リーダー役で「ムカデ人間」の先頭の関西ヤクザ演じた北村昭博が出演してます。
殺人鬼兄弟も典型的な田舎のホワイトトラッシュという感じで、殺人鬼キャラとして魅力は感じられなかったかな。兄貴は差別意識丸出しの粗暴な田舎者で弟はそんな兄貴に暴力で押さえつけられて、その溜った鬱憤を一緒に暮らしてる叔父にぶつけたりしてます。主に兄貴の方が殺人を行ってますね。
割と序盤の方で弟ビクターに襲われたエリカが一緒に坂転がり落ちてまさかの「転校生」展開迎える所は意表突かれましたが、好き嫌い別れる展開ですよね。自分が見下していたイエロー女になって、叔父にレイプされそうになったり散々な目に遭いますが、男だった時から押さえつけられてる感じだったから立場そんなに変わったように感じなかったな。というか、ビクター兄に自分のこと伝えるとき「俺だよ、ビクターだ」としか言わないし、兄の好きな歌少し歌って伝えようとしたりパニックになってるとは云え伝え方下手糞か!と思いましたね。まあ、その頭悪い感じもホワイトトラッシュと考えるとリアルっちゃリアルか。兄から逃げるときに転んだアジュンを助け起こそうとしたところは英語まともに話せるのアジュンだけでアジュンと話してばかりいてちょっと絆感じたのかな?
ゴア描写は大きな見所でしたね。最初に拉致した女子を吊り下げて斧で腕ぶった切ったり、腹に斧ぶち込んで、裂け目が広がって吊り下げられて浮いてた脚が地面につく所は妙にリアルに感じた。斧で足ぶった切って「長さが合わない」と交互に両足切っていく所や、カッターで舌刺す所等もゴア描写頑張ってたと思います。
何だかんだ兄と一緒に殺して回るかと思ったら、「そうなるかー」と思いましたが、そこから「俺は白人を越えた白人以上の存在だ」と前向きに考えて殺人鬼として覚醒する所はちょっと面白かったな。ホラー秘宝のメインヴィジュアルにもなってた金髪メイドコスのエリカ・ビクターの姿は狙いすぎてる感はあるけど個人的には割と好き(笑)もっと早くあの格好になって殺しまくって欲しかったな。最後の戦いではアジュンもエリカ英語話せないことわかってたんだからみすみす騙されてるんじゃないよと思いましたね。
ラスト、彼女(彼)は何処に向うのか。あの田舎町だとあの姿でもかなり目立つと思うけど。
日本人が撮ったスラッシャーとしては意外と真面目に撮られてて、ゴア描写結構頑張ってたと思います。