青豆

ホーリー・モーターズの青豆のレビュー・感想・評価

ホーリー・モーターズ(2012年製作の映画)
3.8
アネットに向けて。
最近やっとデヴィッド・リンチの世界より帰還したところだけど、それとはまた別の種類の異世界、レオス・カラックスワールドへ足を踏み入れてしまったようだよ…
オスカーがパリの街を舞台に様々な役を演じミッションをこなしていく様を目にするうにちに(TOKYO!にも登場したメルドが現れた時、何故だろう嬉しくなった自分がいる…)、"本当の自分"と"演じている自分"の境界についてどうしても考えが向いてしまった。なんかもしかすると近年の自分は、接する相手によって"その人向け"の自分であるように努めていたのかもと。職場向けの自分、家族向けの自分、友達(その中でも細分化)や恋人(その時の相手別)向けの自分などなど…
何年か前までは心のままに生き、嬉しかったら抱きつき、おかしいと思ったら物申し、よく泣きよく笑っていた。しかし今はというと、傷つくことや言い争いを回避出来るのであればと、思いを飲み込み涼しく微笑んでいるようなつまらない人間になってしまった。それと引き換えに泣くこともほぼなくなったけど、本気で笑うことも少なくなった("くるみ"状態だ)。
全然カラックスが伝えたいことではないかもだけど、観終えてからしばらくそんなことを考えていた。そしてそんなわたしの様子を、やれやれ…と愛車は見ているのかもしれない。
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