ナミモト

ホーリー・モーターズのナミモトのレビュー・感想・評価

ホーリー・モーターズ(2012年製作の映画)
3.6
「理解しなくていい、感じろ」。

始まり。観客達から観られている。これは、演じる者達の物語であることが示唆されている。

オスカーが演じるのは、老婆、モーション・キャプチャーの役者、モンスター、強盗、殺人者、誰かの父親であり、誰かの伯父である。

オスカーは誰であり、誰であるのか。
ひいては、私たちは誰であり、誰であるのか。

生きることが、誰か(何者か)になっていく過程の連続であるのなら、この作品は、まさに人生は演技だということを示唆していると感じました。

長い一日を通して、いくつかの映画のワンシーンを繰り返し繰り返し繰り返し、何度か死に、死んで、殺されて、死を重複する。

長い一日(人生)の終わりには笑わなければ。

一体、どこまでが演技で、どこまでが素の自分であると、自信を持って自分自身の境界を見定められるだろう。
仕事から帰って家に着いたら、そこにいるのは、素の自分だろうか?それとも、誰かにとっての誰かに変わっただけだろうか?
そう。わたしも、あなたも、あの人も。
長い一日は、繰り返される。また明日も、迎えが来る。その車に乗り込んだら、また繰り返すのだ、何者かになることを。

最後、車達がコソコソ喋るのはユーモラスすぎる。
そう、最後には笑わなければ。
ナミモト

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