不在

ホーリー・モーターズの不在のレビュー・感想・評価

ホーリー・モーターズ(2012年製作の映画)
4.0
見る者と見られる者、主体と客体についての映画であると同時に、レオス・カラックス本人についての映画でもある。
ベルイマンの『仮面/ペルソナ』と共通するテーマ。
映画人は映画という芸術を解体せずにはいられないのだろう。

ベルイマンは役を演じることで分裂していく自我というテーマと、更に一歩先の芸術が社会に与える影響をも論じていたが、本作はもっと根本的な恐怖、つまり芸術は自分を救えないという事実を浮き彫りにしているように思える。
しかし、その命を削って撮った映画に救われる人は大勢いる。
カラックスはこの事実と、壊れゆく現実との乖離に苦しんでいたのではないか。
一体誰のために撮っているのか…と。
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