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孤独な天使たちのleylaのレビュー・感想・評価

孤独な天使たち(2012年製作の映画)
4.1
ベルトルッチ監督の遺作。70歳を過ぎて車椅子の身体で、若者の心の機微を描いたこんな青春作品を撮るなんて…ベルトルッチは、この原作と出会って9年の沈黙を破ったのだそう。

性描写はない。派手な展開もない。
恋でも友情でもない絶妙な関係、絶妙な年齢差。

14歳のロレンツォは周囲に馴染めない少年。異母姉のオリヴィアはクスリをやめようと、もがいている。偶然、2人が地下室で過ごすことになった1週間が描れる。
絆とか成長とかいうチープなひと言ではくくれなくてもっと繊細。

D.ボウイの『Space Oddity』が使われている作品はたいてい感動度がアップするけど、今作ではボウイのイタリア語バージョンが1シーンで使われている。歌詞はオリジナルとは全然違うけど、作品とハマっていてかなり胸熱で最高なシーンでした。ほんと、いいシーン。邦題もこの歌詞からだと思う。

そして『Space Oddity』が流れるラストショットがいい。希望を描いたのか、冷たく突き放したショットなのかはわからない。実際には原作の結末は悲しいものだそう。でもベルトルッチは、温かい目でニキビ顔の若者を見送ったのではないかと思いました。

オリヴィアの言うセリフが時々すごくよくてホッとする。ヤク中だけどいい子なんだな。
個人的にかなりツボった作品でした。
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