のんchan

孤独な天使たちののんchanのレビュー・感想・評価

孤独な天使たち(2012年製作の映画)
4.0
ベルトルッチ監督作品鑑賞13本目。
前作『ドリーマーズ』以降、長い闘病生活を送り、9年ぶりに復帰した意欲作はなんと青春映画。
しかし、残念ながら遺作となった。

原作を読んだ瞬間に作品を撮りたい願望が湧いたらしい。
主役はベルトルッチの絶賛する14歳の少年ヤコポ・オルモ・アンティノーリ。
ニキビ面でイケメンとは言えないけど、監督が選んだだけあり、無意識の中に強い意思を感じる等身大のこの役にドンピシャ。

相手役は、女優、写真家、アーティストの顔を持つテア・ファルコ。
監督が会った時、「今、何を考えてるの?」と聞いたファルコの返事は
「視点を持たないことはいいことよ。決して言い争いが起こらないから」
と言ったらしい。凄く気に入ってこの台詞を映画に入れている。


14歳のロレンツォは両親不仲もあり、学校でも周囲と馴染めず心を閉ざしている。1週間のスキー合宿への申し込みをせず、母親には行ったことにし、住居アパートメントの地下室に籠って過ごす計画を実行に移す。
食糧とPCと本とiPod(音楽)さえあれば、誰にも邪魔されず1週間を送れるとウキウキ始めた翌日に、意外な人物により掻き乱されてしまう。フェイクファーコートを羽織った派手な女は、随分と会っていなかった異母姉のオリヴィアだった。彼女は美しく奔放。実はヤク中で薬が抜けるまで急遽居候状態になる。
ロレンツォの計画は一瞬で壊れるが、年上で世の中の経験豊富なオリヴィアとの時間を共有することで、ロレンツォは大人の世界へ飛び出せる気持ちの変化が起きる...

ベルトルッチなのにエロス描写はありません。そこがイイ。
ラストはお互い楽しかったと言い合い、通りでハグしてキスしてお別れする。


音楽の使い方がイイ🎵
ロレンツォのヘッドフォンから流れるのは
The Cure - Boys Don't Cry

David Bowie – Space Oddity

監督はラジオで偶然にボウイがイタリア語で歌うSpace Oddityを聴き、まるでこの映画のためにあるように思い挿入歌としている。

2人でダンスを踊るシーン。
そして、ラストにも流れる🎵

『孤独な少年よ 今からどこへ?
夜は大きな海
泳ぐのなら 手を貸すけれど
ありがとう でも今夜僕は死にたい
僕の目の中には 天使がいるから
飛べなくなった天使が』




※leylaちゃん📎から1年経ってしまったけど、とても良かった、ありがとう💕
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