このレビューはネタバレを含みます
序盤はロレンツォだけの世界を覗き見してるみたいだった。でもものすごく新鮮というわけじゃなくて、「お父さんも喜んでたわよ」と言う母親に「なんて言ってた?」って聞き返すところ、うんそう言っちゃうのわかる、わかるよと思った。
「一人は楽かもしれないけれど、楽なことが喜びになるというわけではないと思う、生きることは辛いけど、辛さがあるから喜びがあるのかも、自分の殻を破ったら、怪我しちゃうかもしれない、でもそれって生きてるんだから仕方ないよ、生きてると必ず傷がつくものなんだ、だから大丈夫。蟻の巣のシーン見てくれたでしょ?」と優しく温かく言われているように感じた。
ロレンツォとオリヴィアが抱きしめ合うシーン、2人だから孤独が消えた、というのではなくて、2人の中にある孤独が繋がったようだった。それがとてもいい。
この人の中にも孤独はあるんだ、と思いあえたら、孤独なんだけど孤独じゃない。一生孤独と生きることは変わらないけど。
物語には終わりがある、でも2人の人生に目に見える区切りはなくそのまま続いて行く、ああいう終わり方好きだ。音楽も素敵。