多タロ

タイガー 伝説のスパイの多タロのレビュー・感想・評価

タイガー 伝説のスパイ(2012年製作の映画)
3.3
サルマン・カーン主演映画は初めて。ヒゲがない姿に少々びっくり。
YRFスパイユニバースはパターンのみの鑑賞だったために順番があべこべとなってしまった。良くも悪くもどこかベタでゆるくコメディを交えて描かれるスパイアクションといった印象で、作中ではジェームズ・ボンドの名前が出てくるものの、主人公・タイガーに女に対する免疫がなかったり、唐突にメタネタをぶっ込んでくる辺り、007よりはMIP寄りな作風になっている。
インド映画らしいツッコミどころ満載なケレン味マシマシアクションやラブロマンスも有りで観やすいのではないだろうか。


※以下ネタバレ
インドの諜報機関・RAWの凄腕スパイであるタイガーはかなりの2枚目でありながら身分を隠す仕事柄、異性と深い仲になれないという童貞気質設定。こんな男がヒロインと出会ったらどういう恋愛に展開していくのかと思ったらそこは南北関係なく、さすがのインド映画。いつものように出会って早々恋に落ちるとお互い満更でもない仲へと進展していくのだが、インターミッション直前でヒロイン・ゾヤがパキスタン側の女スパイであることが判明。今度こそ一体どうなることかと続きを見守ると、二人ともに祖国への忠誠はどこへやら。葛藤するシーンもそこそこにわりとすぐさま仲良く愛の逃避行へと転じて、終盤それぞれの組織との戦いに展開していくのだからもう笑うしかない。
とまぁこういったかたちでコメディ寄りに物語は進行していくのだが、本作の影の立役者は豊かなヒゲが特徴的なタイガーの相棒的存在(作中名前がどれだけ挙げられたかわからないがランヴィールというらしい)。時にエージェントとしてタイガーのスパイ活動を影から見守り、時に友人のように女に不慣れな彼にアドバイスし、時にメタ発言でダンスシーンにツッコミを入れる..良くも悪くも主人公として好き勝手に振る舞うタイガーの手綱を握る彼の存在なくしてこの作品は成立し得ないと言えるほどのキャラクターであり、個人的にはバディものとして1本映画を作ってもらいたいと思えるほど。
なお、クライマックスは派手目な爆発シーンを経て、国外逃亡したタイガー・ゾヤペアが敵国同士のスパイだったことを踏まえて、インドとパキスタン両国の融和を願うメッセージで幕を閉じる。締めるところは締める終わり方はなんとも悪くなく、すっきりとした後味なのだが、少々気になるところはパターンにおいて、タイガー=スカーフと布格闘術(?)というキャラ付けだったためにこれのシーンが案外少なく、ちょっぴりがっかりした点。ツッコむのも野暮と言えば野暮だが敵味方があまり銃火器の類を使わないのだがらもっともっと個性あふれるアクションが観たかった。続編の蘇る〜ではスカーフ成分多くなるのかしら。
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