キャラクター造型が素晴らしく、まったくまともな人間が出てこないにもかかわらず、感情移入が出来る作品。
クライム物と言っても、ここまで壊れた人の集合と言うのは珍しいのだが、その中でも主人公マッツ演じるキャラは、壊れているのだがどこかに人間らしさを残しているのが実に魅力的で、脚本の上手さが伺える。
また中盤までの暗い中にも作品カラーの邪魔をしないちょっとしたユーモアが混じっているのも上手い。
そしてラストシークエンスの見事な引きで、ここまでも、そしてこれからもお先真っ暗な親子なのだが、なぜかほっこりしてしまうのも脚本の功績だろう。
ちょっと意地悪くとると、罵られた腹いせに連れ去ったともとれるのだが、ここは素直に父親としての愛情が心の隅にあったととったほうがいいだろう。
見事な引きで印象に残る作品。
余談。
実は私、大失敗をしてしまいまして・・・・
普段同じ映画を観たことを忘れてまた観ることを避けるために、データを作っているのですが、そこに「プッシャー」の名があったので、今作を躊躇なく観たわけですよ。
でも、あれ?な~んか違うぞ・・・・・
確かにストーリーは繋がるし、全く別物でもない。
で、よく見たら、過去に見たのは2012年イギリスの英語版リメイク「プッシャー」だった。
急いで元「プッシャー」を観ないと、今作の感動がもったいない!!