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マニアックのkuuのレビュー・感想・評価

マニアック(2012年製作の映画)
3.7
『マニアック』
原題 Maniac.
映倫区分 R15+.
製作年 2012年。上映時間 89分。
ウィリアム・ラスティグ監督による1980年の同名映画を、『ピラニア3D』のアレクサンドル・アジャ&『アーティスト』のトマ・ラングマン製作、『ロード・オブ・ザ・リング』のイライジャ・ウッド主演でリメイクしたサスペンススリラー。

ロサンゼルスで両親が経営していたマネキン店を継いだ青年フランクは、淫乱で残忍な母親に育てられたトラウマから、生身の女性を愛することができず、自分が修復したマネキンたちに愛情を注いでいく。
やがてフランクは夜な夜な若い女性を殺害し、その毛髪を頭皮ごとはいで自分のマネキンにかぶせるという異常な行動に出始める。
そんなある日、フランクの前にマネキンを作品のモチーフに使わせてほしいという女性カメラマンのアンナが現れ……。

嗚呼、『ロード・オブ・ザ・リング』三部作を最近見たとこだけに、フロド・バギンズの変貌ぶりには驚き🤯
いや、フロド・バギンズではなく、トラウマを抱えたソシオパス・青年フランクかぁ、何にしてもイライジャ・ウッドの体当たり演技には驚きつつ見進めました。
主に一人称視点で語られる今作品は、強烈で痛烈なモダン・ホラーであることに成功していると思います。 
また、今作品はダウンタウンの打ち捨てられた通りから、オルフェウスの映画館まで、ロサンゼルスのランドマークがたくさん登場してました。L.A.をよく知る人なら、ランドマークを見つけるのも楽しいやろし、行ったことがなくとも気分は味わえるかと。
殺る方も、殺られる方も追体験はしたくはないが。
それに加えて、主人公を演じるイライジャ・ウッドが本当に不気味で痛々しい演技をしていました。
今作品は、最近のモダンホラーがあまりできなかったこと、つまり、不気味さや風刺を見失うことなく、同時に楽しませてくれました。
今作品では、イライジャ・ウッドが、『ロード・オブ・ザ・リング』での赤ちゃんフェイスと脂肪を落とし、全身全霊で演技に取り組んでいる。
フロドはこの世の善の象徴のような存在である。しかし、フロドを最近見ているからこそ、より不気味で、より信じられる怖さでした。
ウィンディ・レフン監督の『ドライヴ』(2011年)にも通じる80年代のシンセサイザーのサウンドトラックも加わり怖さもブースト。 
かなり強い胃袋が必要やけど、その衝撃は真剣そのもので、ゴア表現も容赦なかった。
ジャンプ・スケアが主流の現代において、実に効果的で不快なホラーであり、実に新鮮に感じられる面白い作品でした。
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