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25年目の弦楽四重奏のMoviePANDAのレビュー・感想・評価

25年目の弦楽四重奏(2012年製作の映画)
4.9
『不変に囚われ生み出される困難。そして、それを乗り越えた時に生み出される感動の音色♪』

鳥肌度合いMAX!こんな感動と興奮は『セッション』以来か!?この映画、早い話が内輪揉めを描いた映画。結成25年を迎える弦楽四重奏団「フーガ」。演奏会を前にしたリハーサルで、最年長のピーターがパーキンソン病を理由に次の演奏会を持って引退することを宣言します。これによって他の3人は激しく動揺し、これまで完璧に保たれていた調和が狂い始めてしまうというお話です。

弦楽四重奏。一人が狂えばそれで全てが台無しになってしまう。それによる緊張感もさることながら、奏者もそれぞれがひとりの人間であり、バンドの内輪揉めとも通ずると思いますが、チームワークというものがいかに困難であるのかを見せつけられます。ボク自身、10年以上人を束ねる立場で仕事をやってきましたが、永遠の課題というか本当に難しい事だと思います。

最年長のピーターを演じるはクリストファー・ウォーケン。パートはチェロ。パーキンソン病を患い、それが悔しくてたまらないにも関わらず、皆を束ねる立場であることから平静を装うその姿がせつないρ(・・、)第1バイオリンのダニエルにマーク・イヴァニール。第2バイオリンのロバートに名優フィリップ・シーモア・ホフマン。ヴィオラのジュリエットにキャサリン・キーナー。彼女はロバートの妻でもあります。

ダニエルは第1バイオリンである事からプライドが高く完璧主義者。それ故楽曲の背景までしっかり理解して演奏をしたい人。それに対し第2バイオリンのロバートは、パッションを大切にしたい人。ダニエルを尊敬しつつも妬んでおり、ピーターの引退話で一気に積年の不満が噴出してしまいます。ジュリエットはピーター無しではこの楽団の意義が無いと考え…

ハイ、この段階でこの人間関係めんどくさい(^∀^;)でも、これがさらにこじれにこじれまくっていくんです…でも、それが何よりリアリティ♪普段ボクらが直面する困難とはほとんどが会社や友人·親族関係での内輪揉め。だからこそ、その痛さと辛さが分かる!そして、去年まで妻と同じ職場だったボクはロバートに共感する場面もちらほら。でも浮気はいけませんが…

個人的に生演奏の素晴らしさというものは、クラシックでもロックでもいいのですが、それは何物にも勝る感動体験だと思っています。だからこそ、“生ではない”映画が与える感動力にまた驚きの連続なのですが。奏者ひとりひとりがそれぞれの人生を抱える中で、その奏でるひとときに気持ちを調和させるその事に感動するんです。そして、その気持ちの入りかたで音楽は更なる高みへと昇っていきます。

ボクの好きな桑田佳祐の場合なら、2011年宮城。復興の為、それまで遺体安置所であった会場でのライブ。このライブ、復興と自身の癌からの復活のふたつの意味があったのですが、気持ちが入る故のその絶唱ぶりは凄まじく、それを見たボクはとにかくボロ泣きでした((T_T))
上司での結婚式。ありがたくも、その上司から歌がうまいと言われていた僕たち夫婦は、ベタながらコブクロの『永遠にともに』を歌う事に。カラオケ屋さんに行っては何度も何度も練習し、人生で初めて歌を唄う事を嫌いになりかけましたが、その練習の甲斐あってか当日の想いの注入度合いは半端なく式に出席した多くの方から、感動した!と声を掛けていただきました。

     “想いは絶対に伝わります”

先日、長年の念願叶って『ラ·フォル·ジュルネ』に参加してきました♪『ラ·フォル·ジュルネ』とは2005年以来、毎年ゴールデンウィーク頃に行われているクラシックの音楽祭の事。ボクは家族と共にハンガリー・ジュール・フィルハーモニー管弦楽団によるバレエ『白鳥の湖』と『火の鳥』を鑑賞してきたのですが、いや、素晴らしかった!結果、妻と共に泣きました(*T^T)特に『白鳥の湖』“情景”における迫り来る情感!本当に行って良かった。そして、その後は別の会場で弦楽四重奏団の皆様を従えて、うちの2歳の娘が指揮を体験したのですが、よほど楽しかったのか家に帰ってきてからも、指揮してるんですよね(*‘ω‘ *)音楽の熱はやはり伝わるし、年齢すら超越するのだと本当に感動しました!

ひとりひとりがそれぞれの想いを抱えていても、演奏の時は無情にもやってきます。でもその様々な想いがあるからこそ、その演奏される音楽に火が灯るのかも。情熱が解き放たれるクライマックスには本当に感動した!内容的には5点付けたい位。名優が奏者を演じているイコール当て振りなのでマイナス0.1。致し方無いことですが、それ以外は完璧!ブラボー♪゚+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゚♪
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