むぅ

セレステ∞ジェシーのむぅのレビュー・感想・評価

セレステ∞ジェシー(2012年製作の映画)
3.8
「あなたと友達だった事なんてない」

4年の時を過ごし、さよならすると決まった相手が「友達に戻ろう」と言うのでそう言った。
それを聞いた男友達が言った。
「きっつっ!」
「だってそうなんだもん、出会った時から気になってて好きになった人だったし」
「確かに光の速さで付き合ったよな」
「うるさいよ」
「向こうだって本当に友達になろうなんて思ってないと思うわ」
「じゃあ何故そんなこと言う」
「社交辞令、それか言い訳」
「そんなのいらん、しかも"なろう"ならともかく"戻ろう"って何」
「マジでそういうとこ細けぇ。むぅ男とも友達になれるタイプっていうかむしろ男友達多いだろ」
「どっちかに恋愛感情あったら男女の友情成立しないと思ってる」
「つまり、引きずってるんだな」
さすが我が友、理解が深くていらっしゃる。

私はシス・ヘテロの女性。
なので、ここでは"男女"という言葉で語らせてもらう事にした。

セレステとジェシー。
学生時代から付き合っていて結婚したノリもぴったりな2人。
でも今は離婚を前提に別居中。
「永遠に親友でいられるように」
その言葉通り別居中でも大の仲良しだったのだが....。

"別れても大切な人"
そのお互いの"大切な人"の色合いに変化が起こるタイミングが決定的に変化する瞬間が描かれたシーンで一度止めて冷蔵庫に向かった。
氷結無糖をスクリーンの中に突っ込めるならセレステの分も持ってきたいところだ。

"さよなら"に色がついていたら。
それは一色じゃないし、ずっと同じ色でもないはず。
自分の中で"さよなら"の色が変化するのに向き合うのは、なかなか大変。セピア色にグラデーションしていってくれるならともかく、予想外の出来事でビビットなカラーが足されちゃったりすると、もう。

恋愛リアリティショー、よく観る。最近はNetflixの『LOVE IS BLIND』の新シーズンを観ている。顔を見ずに話して恋に落ち、婚約が成立したら実際に会ってどうなるかというやつだ。
海外版だとお互いに恋した相手に「私たちって最高の親友になれそうじゃない?」という言葉がよく出てくる。
正直なところ、どうもその言葉だけはピンとこない。
その言葉は私にとっては「(大好きだけど恋愛感情一切ないでーす)」という牽制球として、使い使われてきた言葉だからだ。
パートナーになって年月を重ね、親友であったり戦友のような関係になるならわかるのだが。

彼氏と別れて友達に戻ったとて。
個人的にはその一言に尽きる。
"さよなら"の色合いの変化が苦手なので早々にパレットは閉じてしまいたいのだ。

でもセレステとジェシーの気持ちはよくわかる。
2人の"さよなら"のグラデーションは決して珍しいものではないけれど、2人が最後に足した色が私は好きだった。


学生時代、バイト先で出会った初日にお互い気が合いそうと思って飲みに行って以来、仲の良いその男友達がFilmarksをやってなくて良かった。やってたら確実にLINEが来たはず。
「何年前の話してんだよ」

久しぶりの思い出横丁。
たまには楽しい。
むぅ

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