爆裂BOX

ポゼッションの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

ポゼッション(2012年製作の映画)
3.6
持ち主に災いをもたらす呪いの木箱の実話を基に「ゴースト・ハウス・ピクチャーズ」が「モルグ 死体消失」や「パラサイトX」のオーレ・ボールネダル監督で映画化した正統派オカルトホラーです。
妻と離婚したクライドは終末を娘二人と過ごすのを楽しみにしていたが、次女エミリーがガレージセールでアンティークの木箱を購入した日からエミリーの行動に異変が起き始めるようになるというストーリーです。
お話としては非常にオーソドックスなオカルトホラーになっています。悪魔を封印した木箱を手に入れたことから悪魔に取り憑かれますが、離婚したばかりで複雑な家庭環境の問題などを織り交ぜながら展開していきます。実話基にしてるけど、特典見る限りこの話自体はフィクションと捉えてよさそうですね。
木箱の悪魔によってエミリーが言動に異変が起き始める姿がじっくり描かれますが、離婚して父と母が別々になったり、週末を過ごすことになった主人公である父親クライドも新しい仕事が決まりそうでその連絡の電話にかかりきりになってほっとかれたりして寂しさを感じてその隙に付け込まれていきますが、周囲からは離婚で変わった家庭環境の影響で不安定になっていると思われることになるのが上手い設定ですね。自分で自分の頬殴って父親が暴力振るったと周囲に思わせて父親周囲から孤立させようとする狡猾さも悪魔らしくて良いですね。
過激なシーンや派手なシーンあまりないですが、エミリーの部屋に蛾の大群が飛び交うシーンはかなり気持ち悪く感じた。喉に異常を覚えたエミリーがライトで喉の奥照らしたら指先が見えたり、眼がグリンッと裏返って白目剝く所や白目剥くエミリーの顔の裏側に指先が這う所は気味悪くて良かったですね。MRI検査で体内にいる悪魔が写る所は流石にちょっと笑っちゃったけど(笑)犠牲者も作中では二人だけと少なめでしたね。最初のお婆さんも包帯だらけになってたけど生きてたし、元妻の恋人は殺されるかと思ったら歯ボロボロぬけたけどそのまま逃げて登場しなかったし。
エミリーを演じたナターシャ・カリスの両親の離婚で変わる家庭環境に不安覚えながらも明るく振る舞う健気な少女から悪魔に取り憑かれて邪悪な存在に変わっていく熱演ぶりが素晴らしい。無表情で涙一筋流す姿は悪魔に支配されながらもまだエミリーも中に残っているんだと感じさせる演技でした。
悪魔の画策によって、暴力オヤジと思われ元妻から冷たく当たられ孤立しながらも娘を救うためにあちこち必死で走り回る主人公クライドをMr.ニーガンことジェフリー・ディーン・モーガンが好演してます。体格がっちりしてるから「スーパーナチュラル」でジョン・ウィンチェスター演じてた頃かな?主人公にキツく当たって中々異常を認識せずイラっとさせる元妻をケヴィン・ベーコンの嫁さんであるキーラ・セジヴィックが演じてます。姉役のマディソン・ダヴェンポートも美人で、美人姉妹でしたね。
終盤でエクソシストを呼んで悪魔祓い展開になりますが、それを行うのがユダヤ教のラビで、病院で行うというのが何時ものエクソシスト展開とちょっと違っていて新鮮ではありますね。ただ、このエクソシスト始まるのが本当に終盤で短く終わるのは物足りない人いるでしょうね。逃げ出したエミリーを必死で追い掛けて自分に乗り移れと必死で叫ぶクライドの姿は応援しがいあります。最後に悪魔実体化して現れるけど個人的にはそんなインパクトある姿ではなかったかな。
この事件を通して家族の絆復活してハッピーエンド…と思わせてからのバッドエンドはあの人可哀想すぎでしょ。皆恐れて「神に任せろ」みたいに言う中進んで引き受けてくれたのに。
オーソドックスなオカルトホラーで新鮮味とかはあまりないですが、演出や映像自体はしっかり作られてるのでオカルトホラー好きなら他の支援る作品だと思います。