ゆず

ブロンソンのゆずのネタバレレビュー・内容・結末

ブロンソン(2008年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

イギリスで最も凶暴な囚人チャールズ・ブロンソン、本名マイケル・ピーターソンという男の半生を描いた、実話に基づく物語。

いやー、笑った。こんなに笑う映画だとは思わなかった。バイオレンスな内容、しかし主人公は真剣に迷走&暴走しっぱなし、おまけにあまり頭がよろしくない。「そりゃそうなるよ!」な展開と「どうしてそうなった!」な展開の連続に、シュールな笑いがこみ上げ続ける。(口も悪い。FワードとCワード結構叫んでた気がするトムハさん)
暗い話なのかなと思いきや、本人が自分の過去を語る場面はスタンダップコメディ仕立て?だし、演出や音楽も真顔で笑わせにくる…なんなんだろうこれ?バイオレンス・コメディ?w変な映画…wwトムハがやたら脱いだり吠えたり唸ったりぐでんぐでんになったり。俳優って大変だなあ。看護師との会話シーン面白すぎた。
感情移入は一切できないけど、コメディ的にはとても面白かった。緩急のつけ方と音楽の使い方うまいなー。笑いこらえっぱなしで疲れた。家でDVDで見た方が良かったかもw

有名になろうってのもただの後付けっぽい。本人もどうしたいか全然分かってなかったんだろうな。将来についての質問に答えられなかったり、「お前に俺の望みが分かるのか?」って突然キレたりしてたし…。

再投獄されるまでの流れ、めちゃくちゃ笑った。ぶっ飛びすぎてて、痛々しいとか可哀想とかって気持ちが一瞬でどっかいっちゃうのよね。それに彼が愛を手に入れたところで、あの凶暴性が収まるとも思えない。両親から虐待されたり無視されたりしてたわけじゃないから、愛されたくて暴力に走ってるわけでもなさそうだし…まぁ暴力の原因は直接語られてはいないけれども。語られても私には理解できないだろうな。

真面目でまとも、なはずの両親も変なんだよなぁ。だからこそ両親の行動も笑えるのだけど。主人公を否定する描写が全く入らなかったから、両親の溺愛の仕方が原因で自分を見失った上に暴力性に拍車がかかったのかなーってぐらいしか、主人公がああなった原因思いつかないなあ。

これぞ俺の作品だ!っていうあのシーンを見て思った。この人、自己表現さえできればなんでも良かったんじゃあなかろうかと。どうしたいか、どうしたらいいかわからない、ってイライラをぶちまけていたのか、あるいは暴力も自己表現のうちだったのか。先に絵を描くことに興味を持ってたら全く違う人生だったのかもしれないな。彼の絵の良さはわからないが。

こんなイカれた人間が2ヶ月余りだけでも釈放されたってのが一番びっくりだ。どこまで事実なのだろ?
ゆず

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