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ブロンソンの666のレビュー・感想・評価

ブロンソン(2008年製作の映画)
5.0
全部好き過ぎる。レフンの中で突き抜けてドタイプ。
ブロンソンという存在と全てが絶妙なバランス‼︎

刑務所内の淡い青白ベースのマットな映像と、黒バックの囚人服で語るシーン含めた演劇風表現、ノスタルジックな画像と無音の空気感に生音のオペラが入ってくる。

題材としている実在の囚人、暴力に芸術性を持たせた様な表現に、なるほどねーと思っていたら、トムハーディの出所シーンにらなるとエレクトロな音楽が始まり、あ〜だから好きなんです‼とノスタルジック︎だけではない表現に堪らなく満たされた。

アナログカメラの様な映像とエレクトロニカのバランスが只々好みなだけなのだけど、それだけでなく、生音のオーケストラやオペラが入るからいい!
音楽グラスキャンディー良かった!

トムハーディが映像や音楽の様に作品そのものに溶けこんだような凄い演技なんだけど、演技を超えたトムハーディ自体の魅力が人間としてだけでなく(もはや主人公が人間じゃないレベルの表現だったから?)なんか化け物に思えた。こんな映画に混ざっちゃってる俳優そうそうみない。

主人公の笑っちゃうレベルの暴力性や間抜け感、独房で手陰遊びする、ドアのノックの仕方、ギャグのようなメイクやアイテムの登場、しかも主人公が終盤アートの才能を発揮するのだけど、その部屋や、描いた絵がアニメーションになってトムハーディと混ざる、細かい箇所が好きすぎて仕方ない。

絶対実在本人はこんなに愛らしい化物じゃなくて、ただただ凶悪な人なんだろうけど、トムハーディとレフンが作ったであろうこのキャラクターがたまらない。
(DVD特典映像(特典音声?)の本人音声がトムハがそっくりに演じているのがすごいと気づく)

赤青映像や、急な血だらけシーンのレフン要素も出てくると安心したし、後半アートに目覚めるシーンではヤンシュバンクマイエル要素を感じて観ながら度々思い出した。

実在だけどザ・ノンフィクションでも無いし、アクションでもホラーでもコメディでもない。絶妙なバランス。

何度観ても満たされてる。
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