Stroszek

ブロンソンのStroszekのネタバレレビュー・内容・結末

ブロンソン(2008年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

2008年英。「英国で最も有名な囚人」マイケル・ピーターソンが、34年のうち30年を独房で過ごした監獄生活を、舞台の上から観客に向けて振り返る(舞台上の早変わりで看護師をも演じる一人二役が最高)。スキンヘッド、口ヒゲ、全裸のトム・ハーディの存在感たるや。それにしても、彼がいつも持ち歩いている黄色い箱には何が入っていたんだろう。最後、狭い籠に入った血と傷だらけの彼の姿を遮るように、看守が刑務所の門を閉め、物語は幕を閉じる。刑務所を演劇の舞台として見立て、主役ブロンソンと「彼のホテル」である刑務所との甘美な関係を描いた映画。経営する女装クラブで彼の叔父が言う、“Ladies and gentlemen in ladies’ attire”という台詞が素敵。従兄弟を人質に取り、刑務所の美術室で立てこもる終盤、“What is it you want now?”という刑務所長の呼びかけののちに従兄弟を「作品」にしてしまったブロンソン。“Oh, yeah. That’s a fuckin’ piece of me”と言う台詞がよかった。日本版レンタルDVDで観たのだが、股間にボカシが入っていたので肉体の重量感とフルチンの破壊力が殺がれた。しかし、本物のチャールズ・ブロンソンへの言及として『狼よ、さらば』(Death Wish, 1974)にしか触れられていないのは残念な気がする。

[鑑賞メーターから転載]

2008年英。「マイケル・ピーターソンとして生まれたが、チャーリー・ブロンソンとして死ぬ」と決意した男が、舞台の上で演劇として半生を振り返る。フルチンで看守に殴りかかる→拘束→収容先変えられる→振り出しに戻る、の繰り返しだが、不思議と飽きないチャーミングな主人公。80年代風の軽快なディスコ音楽がよい。有名になりたいだけか、それとも何か表現すべきものを持ってるのか分からなかったが、最後の“Oh, that’s a fuckin’ piece of me”という台詞を聞き、彼も一人の芸術家であることを知った。
Stroszek

Stroszek