虎舞羅ーコブラー

狂武蔵の虎舞羅ーコブラーのレビュー・感想・評価

狂武蔵(2020年製作の映画)
5.0
今年初めての☆5.0作品。私のお気に入り作品という事もあり、この作品は万人受けしないかもしれませんので、ご了承を…。

坂口拓さん主演の時代劇アクション映画。
77分間、骨が折れ、奥歯が砕けても588人を斬り続けたワンシーンワンカット。誰も挑戦した事のない映画を十年前に拓さんたちが作り、その映像がお蔵入りに。その映像に追加撮影した場面を加え、世に送り出す事ができました。

他の方のレビューでも多いのが、「映画として見れない」という意見。しかし私は、この映画を“坂口拓さんのドキュメンタリー”であり、“宮本武蔵の戦い”という2つの側面を持つ作品だと考えています。
元々私は戦うシーンを見るだけでも楽しい人なのですが、この作品ではただ斬り合うだけではなく、拓さんと武蔵の成長や心情までもがアクションから伝わるのです。

拓さんにとってもトラウマになっていたこの作品。その映像を映画として完成させ、彼のトラウマを成仏させるという、監督やプロデューサーの並々ならぬ思いが伝わります。
彼がひたすらもがき戦い続ける姿が、誰かの“生きる力”を後押し出来るのではないか。彼の思いが、私の心に未だに響き続けています。

確かに低予算かつ詰めが甘いと感じる部分はあるかもしれません。でも、拓さんの生きる姿を見てほしい。宮本武蔵と坂口拓という二人が、重なり合う瞬間を見届けて欲しい。
武蔵がひたすらに戦い続ける姿に、私は心に強さを貰った。坂口拓が戦い続ける強き精神に、私は憧れを感じた。
坂口拓の背中に、私は本物の“侍”とは何かを知ったのだ。