真っ黒こげ太郎

狂武蔵の真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

狂武蔵(2020年製作の映画)
4.5
77分ワンカットの衝撃!!!
77分休みなし!!!

「あと何人いんだよ…。(遠い目)」
「吉岡って…何人だ?70人ぐらいじゃねぇのかよ…。」
「はぁ…しんどい…!」
「…行くかぁ!!!(疲れて声が裏返ってる)」



色々あって(おい)宮本武蔵を一門100人と他流派300人で迎え撃つことになった吉岡一門。
そこへ宮本武蔵が現れ、一門の子供を容赦なく切り捨てる。
宮本武蔵1人と、吉岡一門軍団400人の壮絶な死闘が始まった!!!




宮本武蔵1人と400人の軍勢との死闘を、ワンシーンワンカット長回し77分で描いた、ガチンコ・時代劇アクション。
アクション俳優の坂口拓(TAK∴)さんがワンカット77分のアクションにガチンコ一発勝負(!?)で挑んだ未公開作品「狂武蔵」を新たなカット(冒頭とラストバトル)を加え、9年の時を経て完成させた作品。


お話自体はあってないような物。
坂口拓(TAK∴)さん演じる宮本武蔵が、襲い来る相手を次々切りまくるだけという潔い内容。w

んで坂口拓(TAK∴)さんはワンカットでほぼ休みなく、息絶え絶えになりながらマジで77分に渡ってチャンバラバトルを描いている。
途中で水を飲んで一息付いたり、脇役の侍の話に(一度だけ)カメラが移されたりしてますが、ホントにそれ以外は殆ど休みなし。
休まる場面が殆どない場面で必死に切りまくる坂口拓(TAK∴)さんの姿は凄まじい。
息切れしながら水を飲んでる場面場面とか、一発勝負とは言えマジで「流石に休ませてあげて!」と心配になった。ようやるわ…。

殺陣は相手のスキを付いて倒してゆく一撃必殺型。
切られ役の人々(スタントマンとも言う)は衝撃吸収用のカツラやら小手やらを仕込んだらしく、容赦なく腕や胴や頭を(恐らくマジ当てで)剣劇を撃たれまくってました。
あそこまで長回ししながら繰り広げられるマジ当てアクションの連続は同主演の「VERSUS ヴァーサス」や「デス・トランス」等で見せたマジ当てアクションの最終形態と言っても過言ではないだろう。
切られ役の人が思いっきり走って退場したり、他の切られ役に介抱されながら退場したりしてるのはまぁしょうがない。
(戦いの後ろで介抱されているのはちょっと微笑ましい。w)

ワンカットシーンが終わり、場面が暗転した際には「ようやっと終わった…」とこちらもヘトヘトでした。w
演じ切った坂口拓(TAK∴)さんもそうですが、撮る方も凄いな…。



正直な所、今作はかな~り実験的な内容で万人に受けるとは言い難い。
途中でボスキャラ的な存在を出したり、村娘が居場所をチクったりしてそれなりに飽きさせないように努力はしている。
それでも「ワンカットでひたすら切っていく」だけという内容なので人によっては飽きるかもしれんし、殺陣もチャンバラというよりは剣道みたいな感じが強いので、評価できん人もいるかもしれん。
後合成丸出しな血糊とか、ラスト手前の雨の作り物感、切られ役の使いまわし感等、見るだけで「安い」と思わせる作りは人によってはアウトかもしれん。

だがな、今作はそういう事じゃないんだ。予算がどうとか話がどうとか俳優がどうとか見せ方がどうとかは問題やないんや。
今作は日本が誇る数少ないアクション俳優、坂口拓(TAK∴)さんのアクション俳優魂を感じるなのだ!!!!
自分もワンカットが始まった10分ぐらいは「思ったより普通やな」と思っていたのだが、そんなのを20、30分、1時間以上も続けてみなさい。
冒頭で「普通」とか言ってすまんかったって気持ちになるよ。これ。

これで「ガッカリ」とか言える評論家気取りのアホやクソガキは、実際に70分以上休みなしで殴り合ったり死合ったりしてみなさいよ。
日頃の会社勤めや遅番やらがマシに思えてくると思うぞ!!!w
(まぁ、俺も実際にはやったことないし、開始5分でギブると思うが。w)

正直、俺も仕事の忙しさで長い事映画鑑賞やレビュー執筆ができんかったのだが、今作の坂口拓(TAK∴)さんの頑張りに比べればまだまだ甘えまくりのお子ちゃんでしたよ。
という訳でこれからは色々と頑張りたいと思います、映画鑑賞とかレビュー執筆とか!!!(仕事しろ!!!!www)


まぁそんなこんなで、坂口拓(TAK∴)さんの熱い気合と役者魂を全身の毛穴で受け止める(何処のヴァン・ダムさん主演映画だw)、映画の枠を超えたとんでもない一品でした。

かなり実験要素が強い内容なので素人にはオススメできませんが、とりあえず「VERSUS ヴァーサス」や「デス・トランス」「RE:BORN」とかを見て魂に何か感じたのなら見てみるべし。
坂口拓(TAK∴)さんの迸るほどの気合と魂を受け止めろ!!!