しゃにむ

YES/NO イエス・ノーのしゃにむのレビュー・感想・評価

YES/NO イエス・ノー(2012年製作の映画)
1.8
「嫁に隠し事はするな」(by 中村主水)

< 夫婦怨満のヒケツ >
我が家はかかあ関白です。

・あらすじ
新婚ほやほやのジャックとケイトは見知らぬ箱部屋に別々に監禁される。ベッドと机と四方をコンクリートに囲まれた殺風景な箱部屋。電光掲示板。YESとNOボタン。電光掲示板に提示される夫婦それぞれのプライベートな質問。この部屋から出るにはお腹に抱えた秘密を明かさなければならない。信頼関係が揺らぐ夫婦の驚愕の素顔とは…?

・要約
夫婦で観てはいけない…まぁ別にやましいことがなければ別に止めません。所帯持の視聴者には本物の愛が試される作品かも。

原題は「True Love」てな具合に直球に純愛を訴えるタイトルになっています。拉致されて酷い仕打ちを受ける展開はどこかで聞いたような亜流な雰囲気ですが、実は今作のミソは夫婦の真の絆の形成なんですね。不条理サスペンスにしては異色。物理的な攻撃は少なめでグロさはそれほどでもないです。

しかし夫婦関係に亀裂が入るようなエグい仕掛けが満載でタイトルがブラック。妻や旦那に隠している秘密を全て洗いざらい暴露させる…正しくも正しくないような…隠し事が無くなってよかったね!では済まない程度のやましい秘密が突きつけられる。真実の愛と題して夫婦の醜い部分を曝け出す展開はもうブラックユーモアです(笑い事ではないけど)

既婚者は苦笑いor沈黙。独身者はホッと胸をなで下ろす…捉え方が異なるやも。物理的グロ描写に飢えた方には不向きでしょう。皮肉を楽しみたい悪趣味な方向け。結婚式を控えたカップルは視聴を断念すべきです。

→ その質問はやめてくれよ…(絶望感)
パートナーにぞっこんの夫婦にそれぞれこの質問に応えるのは容易いでしょう。

「妻(夫)を愛していますか?」

もちろん最初はためらいなく「YES」ボタンを押すことになります。この揺らぎない信頼関係を根底から揺らがす仕掛けがイイネ。夫婦は別室に監禁されています。お互いの様子は分かりません。コンクリートの壁がスクリーンになって映像が流されます。

海辺で若い男にナンパされてる妻の姿を途中まで見せておいて旦那には妻は浮気していないか?と際どい質問をぶつけます。この類いの質問を夫婦それぞれに浴びせます。出来れば知られたくない醜悪なシーンを一番見られたくない相手に見せつけられる。しかも映像はリンクしているので映像にヒヤヒヤしつつ相手の反応を想像して気が気でない。最初は太く頑丈だった夫婦の信頼関係という糸を少しずつ削りもろく不安定にします。

自分が愛している人の思わぬしかも醜悪で信じがたい側面を何度も見せつけられた後に再びあの簡単な質問を投げかけます。

「妻(夫)を愛していますか?」

同じ質問でも答えが揺らぐんですね。心理的にエグい仕掛けです。肉体的なグロさは皆無ですが今作は精神的に責めてきます。

・終わりに
設定の悪趣味加減に惹かれたのがピークで実際はたいして面白くはないです。自分が所帯持で似たようなシチュエーションに置かれたら…と想像すると一興です。そもそも隠し事がなければだ、大丈夫…大丈夫。最後の問い自分は真面目にレビューすべきか…折衷。
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