けーはち

ヒステリアのけーはちのレビュー・感想・評価

ヒステリア(2011年製作の映画)
3.7
19世紀末ヴィクトリア朝を舞台に「大人のおもちゃ」の誕生秘話的歴史ロマコメ!

かつて存在したとされる女性特有の精神疾患「ヒステリー」……その実態は家庭や社会的抑圧、欲求不満など諸要因あり、慎み深い淑女は自慰行為もしない世の中、医師が手指で女性器を刺激(性的行為ではない建前で)、ストレス発散の治療を行っていたが、重労働で腱鞘炎になる医師多数。そこで登場する「電動マッサージ器」……

その発明者であるイケメン青年医師(ヒュー・ダンシー)の伝記要素だけでも充分面白いが、そこに彼の勤務する開業医の娘姉妹のロマンティック要素が入る。

妹(フェリシティ・ジョーンズ)が理想的な淑女で、姉(マギー・ギレンホール)が慈善活動、社会主義や後のフェミニズム運動を展開する活発なお転婆。二人の間で揺れながら彼は本当に自分にとっての理想の女性はどちらかを考える。

性具の歴史だけでは下ネタすぎるので、登場人物に「ヒステリー」などの偏見から女性の解放を担う、分かりやすいフェミニズム的テーマ設定で、興味本位の俗人からマジメなリベラル寄りの人にも勧めやすい。またエグい描写は全く画面に出て来ず、それでいて当時の女王陛下にもアレが献上されるなど下世話な部分も上品にバランスを取った、楽しい良作となっている。