quince68

プライズ〜秘密と嘘がくれたもの〜のquince68のレビュー・感想・評価

4.8
まず、全体的に(ストーリーから色彩から)暗い。それが好き。
子供の無垢な姿も
母親との心が通う楽しいシーンも
友達と楽しく遊ぶシーンも
どこか突っかかってスッキリして見れない。

母親の温かい時と冷たい時
先生の温かい時と冷たい時
友達の温かい時と冷たい時
いろんな人の葛藤(演技って本当に凄いと思う。演技は言葉だけじゃないことが改めて感じさせられた)
と女の子の葛藤。

言葉にすればいいのに しない 。
相手に気づいて欲しいから。
むしゃくしゃして、んー!ってなって
物を叩いて投げて危険なことして
危ないとこ座って。
当たられた側も
思ってもいないこと言って。
まさに人ってこんな感じだよね、ストレスが最高潮に達した時。
1番共感して興味深かったシーン。

貝殻アート、ラジオ、表紙になっている廃墟、そこに埋めてた本達、手紙。
もっと深く知りたいことばかり。
もっと感動を誘いたいなら
父親や親族がどう殺されたのか
あの廃墟には何の意味があるのか
とかを入れれば母親への同情心だとかが加わって感動しそうなのに、
敢えてなのか視聴者が得られた情報は
主人公の女の子が知ってる範囲と同じだけ。
本当に求めてるのは愛情だけ。

日本の表紙に書かれた
(作中、母親が娘へした質問の答えでもある)
"お母さんに褒めてほしいの"
は必要だったのか?
前情報無しに見たから勝手に感じるのかもしれないけど
この映画見る前にこの一言見てたら、先入観が邪魔してお母さんが悪く見えてしまいそう
と少しだけ勝手に思った。
でも、これもこれで、女の子目線を貫いてるか。

ラストシーンについて
とても人と語り合いたいと思った。
口には出さずに
でも感情が溢れて喉が鳴って
抱きしめて貰いたくて
母親を抱きしめたり
ぐるぐる回ったり。
抱きしめて貰えずに
ジムに自分を写したように苦しい表情で強く抱きしめて。
とてもとても寒い冷たい中
1人で泣いて。
切なかったつらかった。

その後彼女はどうなったと思う?
母親はどんな人だったと思う?
母親はどうなったと思う?
誰かと話したい。

副題の付け方で主題の意味合いって限定的になるよね。
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