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ハッピーサンキューモアプリーズ ニューヨークの恋人たちのakrutmのレビュー・感想・評価

4.4
やっぱりいい奴が似合う、ジョシュ・ラドナー。

ニューヨークを舞台に、男女3人の友情や恋愛模様をハートウォーミングに描いた恋愛ドラマ映画。ジョシュ・ラドナーの監督デビュー作で、監督・脚本・主演の三役を担当している。本作の脚本は、彼の出世作であるシットコム『ママと恋に落ちるまで』の第1〜2シーズン中に書き上げていたが、なかなか製作資金が得られず、2年後にようやく撮影が開始できたそうである。

そんな難産の末に世に出た本作品は、地味ではあるが、とても良い映画であると思う。本来人間が持っている優しさを素直に表現できる人たちを見ていると、こちらも心が暖かくなる。ジョシュ・ラドナー演じる売れない小説家サムは、地下鉄ではぐれた少年を保護するが、里親から良い扱いを受けていない少年は自分の家に帰りたがらずに、サムの部屋に居着いてしまう。そんな少年を自然に受け入れてしまうようないい奴で、ジョシュ・ラドナーはそんな役がとてもよく似合うのである。一目惚れした女性との恋愛模様はちょっと不思議な感じなのだが。

サムと大の仲良である無毛症のアニーが彼女に一目惚れした弁護士のサム#2を段々と受け入れていく様子や、サムの従妹メアリーと恋人チャーリーのメンタルな関係性の変化も、ありふれた展開ではあるが、とても心地よい。とにかく皆んないい奴なので、心が安らぐのである。この映画のゾーイ・カザンは、特にかわいい。

本映画の世間的な評価はあまり良くないのは、リアリティに欠けるということなのだろうが、こういう映画を素直に受け入れられるメンタリティが、特にアメリカには必要なのではないだろうか。そういう意味では、どちらかというと日本人受けするのかもしれない。

余談であるが、ニューヨーカーは何故こんなに西海岸を嫌うのだろうか。本映画に限らず、ニューヨークを舞台にした映画やドラマでは、西海岸をディスるのはお決まりである。この感覚は、想像はできても、完全には実感できない。でも、ロスは暑くて脳が溶けそうって、、すごいセリフ。
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