すず

サウンド・オブ・ノイズのすずのレビュー・感想・評価

サウンド・オブ・ノイズ(2010年製作の映画)
3.5
「町にあふれるゴミみたいな音楽に反撃するときよ。」『町と6人のドラマーのための音楽』という4つの楽章からなる前衛的ノイズ音楽を完成させるために、音楽テロリスト集団が町の公共施設を襲う。凶器はなし。理想のアート音楽を追求するために、一見おバカなことを真剣に実行して音を奏でる。第1楽章はその最たるもので、かなり笑える。そんな彼らを追うのは、音楽一家に生まれるも才能に恵まれず、音楽に対して嫌悪感を抱いている警官。どこかで引け目を感じている彼にとって、音楽そのものが劣等感を刺激する存在であった。音楽を感じると聴覚に異常をきたす。物語の終盤の第4楽章『エレクトリック・ラブ』は、シネマチックな美しさと情感に思わず涙腺がゆるむ。形式的な音楽も、自然が奏でる音も、静寂から聴こえる音も全てが美しく、音楽とは多様性を有したどこまでも自由な表現である。
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